第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題63

交感神経の作用はどれか。

  1. 瞳孔を縮小させる。
  2. 排尿を促進させる。
  3. 気管支を拡張させる。
  4. 心拍数を減少させる。
  5. 胃腸の運動を促進させる。

解答解説

正解は 3. 気管支を拡張させる です。

交感神経は「闘争・逃走反応(fight or flight)」を引き起こす神経系であり、身体を活動的な状態にするために、心拍数の増加、気管支の拡張、瞳孔の拡大などの作用を持ちます。気管支拡張は酸素供給を増やすための重要な反応です。

各選択肢の解説

  1. 瞳孔を縮小させる。
    誤りです。交感神経は瞳孔を拡大(散瞳)させます。 縮瞳は副交感神経の作用です。
  2. 排尿を促進させる。
    誤りです。交感神経は排尿を抑制し、膀胱括約筋を収縮させます。 排尿を促進するのは副交感神経の作用です。
  3. 気管支を拡張させる。
    正解です。交感神経は気管支を拡張させて酸素供給量を増加させます。 特に運動やストレス時に必要な酸素を効率よく取り入れるための重要な作用です。
  4. 心拍数を減少させる。
    誤りです。交感神経は心拍数を増加させます。 心拍数を減少させるのは副交感神経の作用です。
  5. 胃腸の運動を促進させる。
    誤りです。交感神経は胃腸の運動を抑制します。 食物の消化はリラックス時に行うため、副交感神経が主に関与します。

ワンポイントアドバイス

交感神経と副交感神経の作用を区別する際には、交感神経が身体を活動モードにする(心拍数増加、気管支拡張、瞳孔拡大)一方、副交感神経はリラックスモード(心拍数減少、消化促進、排尿促進)を担うことを意識して覚えましょう。この対照的な作用を押さえることが重要です。