第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題32

腱板断裂損傷の徒手検査で陽性となる可能性が最も高いのはどれか。

  1. anterior apprehension test
  2. drop arm test
  3. Morley test
  4. Thompson test
  5. Yargason test

解答解説

正解は2. drop arm testです。

解説

腱板断裂(特に棘上筋)は肩関節の可動域や筋力に影響を及ぼし、特定の徒手検査で陽性反応を示します。drop arm testは、腱板断裂の有無を確認する際に使用される代表的な検査法です。

drop arm testの方法

  • 患者の肩関節を90度外転させ、その位置で維持するよう指示します。
  • 腕をゆっくり下げるように促しますが、腱板が断裂している場合、スムーズに下げることができず、途中で落ちることがあります。
  • この現象が確認されれば陽性となります。

腱板断裂との関連

  • 主に棘上筋の断裂が疑われる場合に有用です。
  • 他の腱板筋の損傷でも一部陽性となる可能性がありますが、棘上筋が関与している場合に特に明確な結果が出ます。

その他の選択肢

  1. anterior apprehension test
    この検査は肩関節前方脱臼や不安定性を評価するために使用されるテストで、腱板断裂とは直接関連しません。不正解です。
  2. Morley test
    Morley testは胸郭出口症候群(TOS)を評価する検査法であり、腱板断裂とは関係がありません。不正解です。
  3. Thompson test
    Thompson testはアキレス腱断裂を評価する検査法であり、腱板断裂には関係しません。不正解です。
  4. Yargason test
    Yargason testは上腕二頭筋長頭腱炎を評価する検査法で、腱板断裂の評価には適していません。不正解です。

ワンポイントアドバイス

腱板断裂に関連する徒手検査には、drop arm testのほかにempty can testHawkins-Kennedy testなどがあります。腱板損傷を疑う際には、これらの検査を併用して評価することが重要です。また、検査結果を判断する際には患者の主訴や病歴も合わせて考慮しましょう。