第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題18

17歳の男子。プールに飛び込んだ際に、頭部を底に打ちつけて受傷した。頸髄損傷を負い、受傷8週後のMMT(徒手筋力テスト)の結果を表に示す。この患者の機能残存レベルはどれか。

  1. C4
  2. C5
  3. C6
  4. C7
  5. C8

解答解説

正解は3(C6)です。
機能残存レベルは、最も低いレベルで筋力が3以上(=重力に抗して動く)である運動機能を基準に判定します。表を見ると、両側の橈側手根伸筋が1〜2と低い一方で、長橈側手根伸筋は両側とも4以上です。これにより、C6が機能残存レベルと判定できます。

各選択肢の解説

  1. C4
    C4レベルでは、主に横隔膜や僧帽筋の一部が機能しますが、上肢の筋力はほぼ失われます。MMTの結果には三角筋や上腕二頭筋の残存機能(筋力4)が示されているため、C4は該当しません。
  2. C5
    C5レベルでは、三角筋や上腕二頭筋が支配され、筋力3以上を示します。この表でも三角筋と上腕二頭筋は両側とも筋力4を示し、C5レベルは満たします。しかし、C6支配筋である長橈側手根伸筋も筋力4を示しているため、C5より下位のレベルが該当します。
  3. C6
    C6では、長橈側手根伸筋が支配され、筋力3以上の場合に機能残存レベルと判定されます。この患者では、長橈側手根伸筋の筋力が両側とも4であり、C6が最も低い残存機能レベルです。C6の機能により、「テンデスシスグリップ」を活用したつかむ動作が可能です。
  4. C7
    C7レベルでは、上腕三頭筋と指伸筋が支配されますが、この表では上腕三頭筋が筋力2、指伸筋が筋力0となっており、C7の筋群は十分に機能していません。そのため、C7は該当しません。
  5. C8
    C8レベルでは、主に指屈筋群が支配されます。この表では指伸筋や手指の筋群が筋力0で全く機能していないため、C8も該当しません。

ワンポイントアドバイス

機能残存レベルを判定する際のポイントは、筋力が3以上の筋肉がどのレベルに支配されるかを確認することです。C6では、長橈側手根伸筋が機能するため、テンデスシスグリップを活用した日常生活動作が期待されます。この判定法は頸髄損傷の評価で頻出です。