第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題40

寒冷療法の作用で正しいのはどれか。

  1. 滑液粘性の低下
  2. 痛閾値の低下
  3. 神経伝導速度の増加
  4. 筋紡錘の感受性の減弱
  5. 毛細血管透過性の亢進

解答解説

正解は 4. 筋紡錘の感受性の減弱 です。
寒冷療法(冷却療法)は、組織温度を低下させることで筋緊張を緩和し、筋紡錘の感受性を減弱させます。これにより、過剰な筋収縮が抑制され、筋肉のリラクゼーション効果が得られます。また、炎症を抑制し、痛みを軽減する効果もあります。

各選択肢の解説

  1. 滑液粘性の低下
    寒冷療法は滑液の粘性を増加させる傾向があります。 温熱療法とは逆の効果を示すため、この選択肢は誤りです。
  2. 痛閾値の低下
    寒冷療法は痛みを軽減する効果があり、痛閾値を上昇させます。 痛みを感じにくくするため、この選択肢は誤りです。
  3. 神経伝導速度の増加
    寒冷療法は神経伝導速度を低下させます。 特に痛覚や温覚の伝導速度を遅延させるため、痛みの軽減につながります。この選択肢は誤りです。
  4. 筋紡錘の感受性の減弱
    正解です。寒冷療法は筋紡錘の感受性を減弱させるため、筋緊張を抑制する効果があります。 痙縮の軽減や筋リラクゼーションに役立ちます。
  5. 毛細血管透過性の亢進
    寒冷療法は毛細血管透過性を低下させ、炎症を抑制します。 これは冷却による抗炎症効果の一部であり、この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

寒冷療法は、急性期の外傷や炎症、筋緊張の抑制に有効です。作用としては、神経伝導速度の低下、筋紡錘の感受性減弱、血管収縮による炎症の抑制などが挙げられます。痛みや腫れの軽減に用いられる一方で、滑液粘性の増加や神経伝導速度の低下といった注意点も覚えておきましょう。