第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題30

脳卒中片麻痺の亜脱臼に対する肘屈曲型アームスリングのチェックアウトで正しいのはどれか。

  1. 頸部で上肢を支持する。
  2. 肩関節は内旋位とする。
  3. 前腕は回外位とする。
  4. 手関節は掌屈位とする。
  5. 手部は肘関節より低くする。

解答解説

正解は2です。

肘屈曲型アームスリングでは肩関節を内旋位とすることが求められます。 これは、肩関節の安定性を確保しつつ、筋緊張の調整や亜脱臼の予防を目的としています。肩の内旋位を保持することで、肩関節が外旋して不安定になるのを防ぐ効果があります。

各選択肢の解説

  1. 頸部で上肢を支持する。
    頸部で上肢を支持する方法は、不自然な姿勢を強いることになり、頸部や肩周囲の負担を増大させる可能性があります。このため、不適切です。
  2. 肩関節は内旋位とする。
    肘屈曲型アームスリングでは肩関節を内旋位に設定することで、肩関節の安定化を図ります。この方法は亜脱臼の予防に効果的であり、正解です。
  3. 前腕は回外位とする。
    肘屈曲型アームスリングの目的は肩関節の安定化であり、前腕の回内・回外の設定は通常重要ではありません。このため、誤りです。
  4. 手関節は掌屈位とする。
    手関節を掌屈位に設定すると、拘縮や腱の短縮を引き起こす可能性があります。中間位が推奨されるため、この記述は不適切です。
  5. 手部は肘関節より低くする。
    手部を肘関節より低い位置にすると、重力により肩関節の亜脱臼が進行する可能性があります。手部を肘関節と同じかやや高い位置にするのが適切です。

ワンポイントアドバイス

脳卒中片麻痺による肩関節亜脱臼の管理では、肩関節の適切なポジショニングが重要です。肘屈曲型アームスリングを使用する際には、肩関節の内旋位や適切な手部の位置を意識して装着します。また、長時間の使用による二次的な拘縮を防ぐため、定期的なチェックが必要です。