第59回

第59回理学療法士国家試験 午前問題94

急性心筋梗塞が疑われる場合に最も優先度が低い検査はどれか。

  1. 心電図
  2. 心エコー
  3. 冠動脈CT
  4. 冠動脈造影
  5. 心筋シンチグラフィー

解答解説

正解は 5. 心筋シンチグラフィー です。

各選択肢の解説

  1. 心電図は、急性心筋梗塞の診断における初期対応として必須です。ST上昇や異常Q波、T波の変化などを迅速に確認できるため、緊急性が高い場面で最も重要です。多くの医療施設で迅速に実施可能なため、第一選択肢になります。
  2. 心エコーは、心筋の壁運動や収縮不全を確認でき、心筋梗塞による虚血や壊死が疑われる領域を評価するために有用です。心エコーはベッドサイドで行えるため、心電図と組み合わせて迅速な診断に役立ちます。また、心筋梗塞の合併症(心破裂、弁閉鎖不全、心タンポナーデなど)も評価でき、治療方針を決定する際に重要な情報を提供します。
  3. 冠動脈造影(CAG)は、冠動脈の閉塞部位や狭窄の程度を確認でき、特にST上昇型心筋梗塞(STEMI)の場合には、迅速に再灌流療法(PCIやCABGなど)を行うために不可欠です。診断と治療を同時に進められるため、急性期では高い優先度を持ちます。
  4. 冠動脈CTは非侵襲的な方法で冠動脈の評価が可能ですが、急性心筋梗塞の診断では冠動脈造影(CAG)に比べて優先度が低いです。特にST上昇型心筋梗塞(STEMI)では、早期に冠動脈造影とPCIが行われるべきであり、CTは補助的な位置づけです。ただし、安定した患者の冠動脈評価には有効です。
  5. 心筋シンチグラフィーは心筋の血流や代謝状態を詳細に評価するために有用ですが、検査に時間がかかるため、急性期の診断や治療の現場では優先度が低くなります。急性心筋梗塞の診断がついた場合には、すぐに治療に進むことが重要であり、シンチグラフィーの使用は遅延を招く可能性があります。心筋梗塞後の心筋の回復状態を評価する目的では有用ですが、緊急対応には適しません。

ワンポイントアドバイス

急性心筋梗塞が疑われる場合、迅速な診断と治療が重要です。心電図冠動脈造影が優先される一方、心筋シンチグラフィーは急性期には時間がかかり、診断に直接影響する情報も限られるため、優先度が低くなります。