83 歳の女性。転倒して右股関節痛を訴えた。エックス線写真(別冊No. 2)を別に示す。
疑うべき疾患はどれか。
- 股関節脱臼
- 大腿骨近位部骨折
- 恥骨結合離開
- 恥骨骨折
- 腸骨骨折
解答解説
正解は 4.恥骨骨折 です。
この症例について
- 高齢者の転倒では骨粗鬆症の影響で骨折が発生しやすく、特に骨盤周囲の骨折が一般的です。
- エックス線写真で恥骨の不整や骨折線が確認できる場合、恥骨骨折が強く疑われます。
各選択肢の解説
- 股関節脱臼
不適切です。
股関節脱臼は通常、大きな外力が加わる交通事故などで発生しやすく、高齢者の日常生活での転倒では稀です。エックス線写真にも脱臼所見は認められません。 - 大腿骨近位部骨折
不適切です。
大腿骨近位部骨折(大腿骨頸部骨折や転子部骨折)は、高齢者の転倒で頻発しますが、エックス線写真には該当する骨折線が見られません。 - 恥骨結合離開
不適切です。
恥骨結合離開は、骨盤に大きな外力が加わる際に発生します。日常生活での転倒による可能性は低く、エックス線所見も一致しません。 - 恥骨骨折
適切です。
エックス線写真に恥骨部の不整な骨折線が確認できます。転倒後の高齢者で最も疑われるのが恥骨骨折です。 - 腸骨骨折
不適切です。
腸骨骨折は骨盤に大きな外力が加わる際に発生するため、日常生活での転倒では発生しにくいです。また、エックス線写真にも腸骨の骨折所見は認められません。
ワンポイントアドバイス
高齢者の転倒では骨粗鬆症が関与するため、骨盤骨折や大腿骨近位部骨折が頻発します。恥骨骨折では通常、保存療法(安静、鎮痛薬、リハビリテーション)で治癒することが多いです。骨折リスクを低減するため、骨粗鬆症治療や転倒予防の環境整備が重要です。