46 歳の女性。BMI は 29.0である。両側の変形性股関節症で、股関節周囲の筋力低下と荷重時の股関節痛がある。
理学療法で適切でないのはどれか。
- 杖を用いた歩行練習
- 水中歩行による有酸素運動
- 背臥位での下肢筋のストレッチ
- 階段昇降による筋力増強トレーニング
- 自転車エルゴメーターでの筋持久性トレーニング
解答解説
正解は 4.
この症例について
- 変形性股関節症では、股関節周囲の筋力低下と荷重時の痛みが主症状となり、適切なリハビリテーションが重要です。過剰な負荷や関節への過剰な荷重を避けることが基本方針です。
- BMIが29.0(肥満に分類)であるため、股関節への負荷を軽減する方法を優先する必要があります。
各選択肢の解説
- 杖を用いた歩行練習
適切です。
杖を使用することで体重を分散させ、股関節への負担を軽減できます。歩行時の安定性も向上するため推奨されます。 - 水中歩行による有酸素運動
適切です。
水中では浮力が働き、股関節への負荷を軽減しながら有酸素運動を行うことが可能です。また、筋力維持や痛みの軽減にも有効です。 - 背臥位での下肢筋のストレッチ
適切です。
背臥位でのストレッチは股関節に無理な負担をかけず、柔軟性を向上させるため適しています。ただし、過度な動作は避ける必要があります。 - 階段昇降による筋力増強トレーニング
不適切です。
階段昇降は荷重が増加し、股関節への過剰な負担を引き起こす可能性があります。特に両側の変形性股関節症では痛みや関節破壊を悪化させる恐れがあるため、適切ではありません。 - 自転車エルゴメーターでの筋持久性トレーニング
適切です。
自転車エルゴメーターでは股関節に直接的な衝撃を与えずに筋持久性を向上させることができるため、痛みを伴わない範囲で推奨されます。
ワンポイントアドバイス
変形性股関節症のリハビリテーションでは、股関節への過剰な荷重や痛みを引き起こす運動は避けることが重要です。
- 水中運動や自転車エルゴメーターは、負担を軽減しつつ効果的な運動が可能です。
- BMIが高い場合、体重減少も症状の改善に寄与します。医師や栄養士と連携し、食事療法を組み合わせることも検討してください。