70歳の男性。自転車エルゴメーターを用い負荷強度30 Wattsから50 Wattsの5種類の一定負荷を行わせた時の心拍数変化を図に示す。この例に全身持久力トレーニングで運動強度を嫌気性代謝閾値(AT)に設定する場合、最も適切な負荷強度(Watts)はどれか。
- 30
- 35
- 40
- 45
- 50
解答解説
正解は 3. 40 です。
嫌気性代謝閾値(AT)とは
嫌気性代謝閾値(AT)は、有酸素運動から無酸素運動への移行点を指します。この閾値付近では、血中乳酸濃度の上昇や呼吸数の増加がみられ、全身持久力のトレーニングにおいて重要な指標となります。トレーニングでは、このATに近い運動強度が適切です。
各負荷強度の解釈
心拍数が運動強度に応じて上昇する傾向が見られます。30~35 Wattsでは心拍数の上昇が緩やかであり、有酸素運動が主体であると考えられます。一方、45~50 Wattsでは心拍数が急激に上昇しており、嫌気性代謝が優位となる可能性があります。40 WattsはAT付近の負荷として適切な範囲といえます。
各選択肢の解説
- 30
誤りです。 負荷が軽すぎるため、有酸素運動が主体となり、全身持久力トレーニングの効果を十分に得られない可能性があります。 - 35
誤りです。 30 Wattsよりやや高い負荷ですが、ATには達しておらず、運動強度がやや不足しています。 - 40
正解です。 心拍数の変化から判断すると、40 WattsはAT付近の適切な負荷強度と考えられます。 - 45
誤りです。 心拍数がATを超えて急激に上昇しており、無酸素運動が主体となりやすい負荷強度です。 - 50
誤りです。 心拍数の上昇が顕著であり、無酸素運動の比重が高く、全身持久力トレーニングとしては負荷が高すぎます。
ワンポイントアドバイス
嫌気性代謝閾値付近でのトレーニングは、持久力の向上に効果的です。ATを確認する際には心拍数だけでなく、乳酸値や呼吸数などの指標も参考にすることが重要です。また、高齢者のトレーニングでは安全性を重視し、無理のない範囲で負荷を設定することが大切です。