第55回

第55回理学療法士国家試験 午後問題10

牽引の場面を図に示す。直達牽引法はどれか。

解答解説

正解は 3. 図3 です。

直達牽引法とは

直達牽引法は、牽引力を直接骨に加える方法で、ピンやワイヤーを骨に挿入して行います。図3では、ピンが挿入されている状態で牽引が行われているため、直達牽引法に該当します。この方法は、骨折部位の整復や固定に非常に有効で、特に不安定な骨折や重度のずれがある場合に用いられます。

各選択肢の解説

  1. 図1
    誤りです。 頸椎牽引の一例で、頭部に装着した装置を用いて牽引を行っています。皮膚や軟部組織を通じて牽引力を加える間接牽引法であり、直達牽引法ではありません。
  2. 図2
    誤りです。 下肢を包帯や装具で固定して牽引を行っています。これも間接牽引法に該当し、直達牽引法ではありません。
  3. 図3
    正解です。 ピンが骨に挿入されており、直接的に牽引力を骨に加える直達牽引法の典型例です。
  4. 図4
    誤りです。 図3と同様の場面に見えますが、この場合は皮膚に固定具を装着して牽引しています。皮膚牽引法であり、直達牽引法ではありません。
  5. 図5
    誤りです。 体重を利用した腰椎牽引の例です。この方法も間接牽引法に該当します。

ワンポイントアドバイス

直達牽引法は、ピンやワイヤーを骨に直接挿入するため侵襲的ですが、高い固定力を必要とする治療に適しています。一方、皮膚や軟部組織を通じて牽引する間接牽引法(皮膚牽引法)は、侵襲が少なく、軽度の力での牽引に用いられます。適応とリスクを正しく理解することが重要です。