70歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージ上肢Ⅲ、下肢Ⅳ。座位にて、肘関節伸展位で肩関節90°屈曲運動を指示したところ、屈曲共同運動パターンがみられた。この患者で促通すべき筋はどれか。
- 棘下筋
- 広背筋
- 大菱形筋
- 上腕二頭筋
- 上腕三頭筋
解答解説
正解は 5. 上腕三頭筋 です。
Brunnstrom法ステージⅢでは、共同運動パターンが顕著に現れる段階です。上肢の屈曲共同運動パターンでは、肩関節屈曲・外転・外旋、肘関節屈曲、前腕回外が見られるため、肘関節伸展を維持することでパターンの崩れを防ぎ、運動の分離を促進する必要があります。そのため、肘伸展を担う上腕三頭筋の促通が重要です。
各選択肢の解説
- 棘下筋
誤りです。 棘下筋は肩関節の外旋に関与する筋です。屈曲共同運動では肩外旋も含まれるため、促通の対象とはなりません。 - 広背筋
誤りです。 広背筋は肩関節の伸展・内転に関与する筋であり、屈曲共同運動に直接関与する筋ではありません。 - 大菱形筋
誤りです。 大菱形筋は肩甲骨の内転に関与します。屈曲共同運動パターンの崩れを改善する上での重要な促通対象ではありません。 - 上腕二頭筋
誤りです。 上腕二頭筋は肘関節の屈曲と前腕回外に関与します。屈曲共同運動パターンでは既に過剰に活動している場合が多く、促通の対象ではありません。 - 上腕三頭筋
正解です。 上腕三頭筋は肘関節の伸展を担う筋であり、屈曲共同運動パターンにおける肘関節屈曲を抑制するために重要です。分離運動を促進する上で適切な促通対象です。
ワンポイントアドバイス
Brunnstrom法ステージⅢの段階では、共同運動パターンの影響を受けやすいため、動作分離の練習が重要です。分離運動を促進するためには、共同運動パターンで優位に活動している筋を抑制し、不足している筋(この場合は上腕三頭筋)を促通することが必要です。