8か月の男児。脳性麻痺による痙直型四肢麻痺。腹臥位で図のような姿勢を示す。影響しているのはどれか。
- 緊張性迷路反射
- 屈筋逃避反射
- 非対称性緊張性頸反射
- Moro 反射
- Landau 反射
解答解説
正解は 1. 緊張性迷路反射 です。
**緊張性迷路反射(TLR: Tonic Labyrinthine Reflex)**は、胎児期から新生児期に見られる原始反射で、姿勢の変化に伴って筋緊張が影響を受けます。具体的には、腹臥位では屈筋が優位となり、図のように全身が屈曲した姿勢がみられます。この反射は通常、4~6か月頃に消失しますが、脳性麻痺などの場合には遷延して残存することがあります。
各選択肢の解説
- 緊張性迷路反射
正解です。 腹臥位では屈筋緊張が亢進し、図のように全身の屈曲姿勢を呈します。この反射の残存が原因です。 - 屈筋逃避反射
誤りです。 屈筋逃避反射は刺激に対して屈曲運動を示す反射であり、姿勢全体に影響を与えるものではありません。 - 非対称性緊張性頸反射(ATNR)
誤りです。 ATNRは頭部を回旋させた際に、顔側の伸筋優位と後頭側の屈筋優位が生じる反射です。この図に示される屈曲姿勢とは関係がありません。 - Moro反射
誤りです。 Moro反射は突然の音や刺激に対する驚き反射で、姿勢の維持とは無関係です。 - Landau反射
誤りです。 Landau反射は3か月頃から発現し、水平に抱えた際に頭部・体幹・下肢が伸展する反射です。屈曲優位の姿勢とは関連がありません。
ワンポイントアドバイス
緊張性迷路反射の残存は、姿勢や運動の発達に大きな影響を及ぼします。脳性麻痺の患児では、この反射が遷延して姿勢制御が困難になることがあります。反射の影響を評価し、リハビリ計画に反映させることが重要です。