5.5歳の女児。左股関節痛を訴えている。エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。疑うべき疾患はどれか。
- 大腿骨頭壊死症
- 大腿骨頭すべり症
- 単純性股関節炎
- 発育性股関節形成不全
- Perthes 病
解答解説
正解は 5. Perthes 病 です。
Perthes病は、小児の大腿骨頭への血流障害により骨壊死が生じる疾患です。エックス線画像では、大腿骨頭の扁平化や不整像が認められ、左側にこれらの特徴がみられます。典型的には4〜10歳の小児、特に男児に多いですが、女児にも発症することがあります。
各選択肢の解説
- 大腿骨頭壊死症
誤りです。 成人や高齢者で好発し、小児ではまれです。また、エックス線像では本疾患特有の像が示されていません。 - 大腿骨頭すべり症
誤りです。 思春期(10歳以上)の子どもに多い疾患で、エックス線像で大腿骨頭が後下方にずれる特徴がありますが、本症例ではその特徴がありません。 - 単純性股関節炎
誤りです。 単純性股関節炎は一過性の炎症で、エックス線像では明らかな骨の変化を認めません。この疾患では、画像上の異常が乏しい場合が多いです。 - 発育性股関節形成不全
誤りです。 乳児期に多く、エックス線で臼蓋の形成不良や股関節の亜脱臼・脱臼が認められるのが特徴ですが、今回の画像にはそれらの所見がありません。 - Perthes 病
正解です。 左大腿骨頭に扁平化や骨壊死を示唆する所見が見られることから、Perthes病が疑われます。
ワンポイントアドバイス
Perthes病は早期診断と治療が重要で、進行すると大腿骨頭の変形が不可逆的になる可能性があります。エックス線像で大腿骨頭の形態変化や骨密度の低下が確認される場合は、本疾患を疑う必要があります。
6.この疾患について正しいのはどれか。
- 外傷が原因である。
- 可動域制限は生じない。
- 感染症が原因である。
- 男児に多い。
- 二次性変形性股関節症になりにくい。
解答解説
正解は 4. 男児に多い です。
Perthes病は、小児の大腿骨頭に一時的に血流障害が生じ、骨壊死と修復を繰り返す疾患です。発症頻度は男児に多く、女児に比べて4倍程度の頻度で発生します。
各選択肢の解説
- 外傷が原因である。
誤りです。 Perthes病の主な原因は血流障害であり、外傷は誘因となる場合があるものの直接的な原因ではありません。 - 可動域制限は生じない。
誤りです。 大腿骨頭の形態変化や炎症により、股関節の可動域制限(特に外転や内旋制限)が生じることが多いです。 - 感染症が原因である。
誤りです。 Perthes病は感染症が原因ではなく、血流障害が主な原因です。 - 男児に多い。
正解です。 Perthes病は4~10歳の小児、特に男児に多く発症します。 - 二次性変形性股関節症になりにくい。
誤りです。 病変が進行して大腿骨頭の変形が著しい場合、将来的に二次性変形性股関節症を発症するリスクが高まります。
ワンポイントアドバイス
Perthes病は早期発見・早期治療が重要で、股関節の保護と適切なリハビリが進行を抑える鍵となります。股関節の可動域制限が見られたら、必ず画像検査で病態を確認しましょう。また、患者の年齢や性別も診断の手がかりとなります。