第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題98

摂食障害について正しいのはどれか。

  1. 摂食障害は女性のみに発症する。
  2. 神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高い。
  3. 神経性大食症では、自己誘発性嘔吐は認められない。
  4. 神経性大食症から神経性無食欲症に移行することはない。
  5. 神経性無食欲症では、過活動や運動強迫が認められない。

解答解説

正解は 2. 神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高い。

神経性大食症(Bulimia Nervosa)は、神経性無食欲症(Anorexia Nervosa)よりも有病率が高いことが知られています。摂食障害全体でみると、神経性大食症の方が症例数が多く、精神科や心療内科で診断されることが多いです。

各選択肢の解説

  1. 摂食障害は女性のみに発症する。
    誤りです。摂食障害は男性にも発症します。 特に青年期の男性にも見られることがあり、近年その割合が注目されています。ただし、女性に多いことは事実です。
  2. 神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高い。
    正解です。神経性大食症の方が神経性無食欲症よりも一般的に多いとされています。 これは診断基準が満たされやすいことや、患者が症状を隠しにくいことが要因とされています。
  3. 神経性大食症では、自己誘発性嘔吐は認められない。
    誤りです。神経性大食症の患者には、過食後に体重増加を防ぐために自己誘発性嘔吐を行う例が多く見られます。 他にも下剤や利尿薬の乱用が含まれます。
  4. 神経性大食症から神経性無食欲症に移行することはない。
    誤りです。摂食障害では症状が移行することがあります。 例えば、神経性大食症から神経性無食欲症に移行するケースやその逆も報告されています。
  5. 神経性無食欲症では、過活動や運動強迫が認められない。
    誤りです。神経性無食欲症の患者では、過活動や運動強迫がよく見られる特徴です。 痩せることへの強いこだわりから、エネルギー摂取以上の運動を行うケースがあります。

ワンポイントアドバイス

摂食障害には神経性無食欲症と神経性大食症がありますが、それぞれの特徴を明確に押さえましょう。神経性無食欲症は体重減少や過活動、神経性大食症は過食と代償行動(嘔吐など)が特徴です。また、摂食障害の患者は症状が移行することもあるため、治療の長期的な視点が重要です。