第53回

第53回理学療法士国家試験 午後問題18

36歳の男性。手にバスケットボールが当たって受傷した。来院時の手指の写真(別冊No.3A)とエックス線単純写真(別冊No.3B)を別に示す。この病態として正しいのはどれか。

  1. 槌指
  2. ばね指
  3. ボクサー骨折
  4. ムチランス変形
  5. Bennett骨折

解答解説

正解は1. 槌指です。

解説

槌指(マレットフィンガー)は、指の末節骨(指の最先端の骨)の伸展腱が断裂したり、骨付着部が剥離骨折を起こしたりすることで発生します。

  • 症状: 末節骨が下垂して、意識的に伸ばすことができない状態(指先が「槌」のように見える)。
  • 原因: ボールなどが指先に直接当たり、伸展腱に過剰な負荷がかかることで発生。
  • エックス線所見: 末節骨の骨片が剥離しているのが確認される(画像No.3Bで認められる)。
    これらの所見から、この症例は槌指に該当します。

その他の選択肢

  1. ばね指
    ばね指(弾発指)は腱鞘炎による指の屈曲制限や弾発現象が特徴であり、今回の受傷メカニズムや所見とは無関係です。不正解です。
  2. ボクサー骨折
    ボクサー骨折は、中手骨(特に第5中手骨)の骨折を指し、殴打などの直接外力が原因となります。今回の症例とは異なります。不正解です。
  3. ムチランス変形
    ムチランス変形は関節リウマチなどによる骨破壊性の変形であり、急性外傷によるものではありません。不正解です。
  4. Bennett骨折
    Bennett骨折は母指の第1中手骨基部の骨折・脱臼を指し、拳を握った状態での強い衝撃が主な原因です。今回の指先の受傷とは異なります。不正解です。

ワンポイントアドバイス

槌指はスポーツ外傷でよく見られる病態です。指先が下垂して伸展できない状態末節骨の剥離骨折がエックス線で確認できることが特徴です。リハビリでは、固定や伸展位の保持が重要になるため、適切な初期対応を覚えておきましょう。