肺塞栓症について誤っているのはどれか。
- 肥満が誘因となる。
- 長期臥床が誘因となる。
- 心電図所見は非特異的である。
- 下肢よりも上肢の手術後に多い。
- 深部静脈血栓症との合併が多い。
解答解説
正解は 4. 下肢よりも上肢の手術後に多い。
肺塞栓症の多くは深部静脈血栓症(DVT)によるもので、特に下肢静脈の血栓が原因となります。上肢の手術後に肺塞栓症が多発することはなく、誤りです。下肢や骨盤周囲の手術、または長時間の臥床や座位が主なリスク因子です。
各選択肢の解説
- 肥満が誘因となる。
正しいです。肥満は血流のうっ滞や動脈硬化を引き起こしやすく、肺塞栓症のリスク因子の1つです。 特に肥満者では術後の血栓形成リスクが高まります。 - 長期臥床が誘因となる。
正しいです。長期臥床は下肢の血流が停滞しやすくなり、深部静脈血栓症を誘発し、肺塞栓症のリスクを高めます。 - 心電図所見は非特異的である。
正しいです。肺塞栓症では心電図に特異的な所見はほとんど見られません。 一部の症例では、S1Q3T3パターン(I誘導のS波、III誘導のQ波と陰性T波)などが観察されることがありますが、必ずしも診断的ではありません。 - 下肢よりも上肢の手術後に多い。
誤りです。肺塞栓症は下肢の静脈血栓から発生することが圧倒的に多いです。 上肢の血栓形成はまれで、肺塞栓症の原因としては一般的ではありません。 - 深部静脈血栓症との合併が多い。
正しいです。肺塞栓症は深部静脈血栓症(DVT)から血栓が移動して発症することがほとんどであり、両者の合併は非常に多いです。
ワンポイントアドバイス
肺塞栓症のリスク因子には、長期臥床、下肢手術、肥満、妊娠・産褥期、悪性腫瘍、経口避妊薬の使用などがあります。下肢や骨盤の血栓が主な原因である点を押さえましょう。臨床的には、DVTの兆候(下肢の腫脹や疼痛)が見られる場合は特に注意が必要です。