第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題87

視床痛で正しいのはどれか。

  1. CRPS(複合性局所痛症候群)Ⅰ型に分類される。
  2. 脳卒中発症直後から出現する。
  3. 聴覚刺激で痛が緩和する。
  4. 非侵害刺激で痛を感じる。
  5. Lhermitte徴候がみられる。

解答解説

正解は 4. 非侵害刺激で痛を感じる。

視床痛(視床症候群)は、視床の損傷によって引き起こされる中枢性の疼痛であり、非侵害刺激(痛みを伴わない刺激)が異常な痛みとして認識されるアロディニアが特徴です。また、通常の痛覚が増強される過敏症(ハイパルゲジア)も見られることがあります。

各選択肢の解説

  1. CRPS(複合性局所痛症候群)Ⅰ型に分類される。
    誤りです。視床痛は脳の中枢の損傷による中枢性疼痛であり、CRPSは末梢性の痛みや神経障害に基づくものです。分類が異なります。
  2. 脳卒中発症直後から出現する。
    誤りです。視床痛は通常、脳卒中発症直後ではなく、数週間から数か月経過してから発症することが多いです。 視床の損傷による二次的な神経障害が関連します。
  3. 聴覚刺激で痛が緩和する。
    誤りです。聴覚刺激が痛みを緩和することはありません。 むしろ刺激が痛みを増強させる場合があります。
  4. 非侵害刺激で痛を感じる。
    正解です。視床痛ではアロディニアと呼ばれる現象が見られます。 例えば、軽く触れるだけの刺激や温度の変化が強い痛みとして認識されることがあります。
  5. Lhermitte徴候がみられる。
    誤りです。Lhermitte徴候は頸部を屈曲した際に電撃様の痛みが体幹や四肢に放散する症状で、脊髄の病変(多発性硬化症など)に関連します。 視床痛とは関係がありません。

ワンポイントアドバイス

視床痛の特徴として、アロディニア(非侵害刺激で痛みを感じる)や痛覚過敏を理解しておきましょう。視床痛は脳卒中後の合併症として重要な問題であり、適切な評価と対処が求められます。他の疼痛状態(CRPS、Lhermitte徴候など)と明確に区別することが試験でも実践でも大切です。