第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題88

脳血管障害と治療の組合せで正しいのはどれか。

  1. ラクナ梗塞 頸動脈血栓内膜剝離術
  2. くも膜下出血 クリッピング手術
  3. 心原性脳塞栓症 頸動脈ステント留置術
  4. 一過性脳虚血発作 コイル塞栓術
  5. アテローム血栓性脳梗塞 アブレーション手術

解答解説

正解は 2. くも膜下出血 クリッピング手術 です。

くも膜下出血の主な原因は脳動脈瘤の破裂です。クリッピング手術は、破裂した動脈瘤をクリップで閉鎖して再出血を防ぐ治療法です。また、動脈瘤に対する治療として、血管内治療であるコイル塞栓術も用いられることがあります。

各選択肢の解説

  1. ラクナ梗塞 頸動脈血栓内膜剝離術
    誤りです。ラクナ梗塞は細い穿通枝動脈の閉塞によるものであり、頸動脈の治療は適応外です。 頸動脈血栓内膜剝離術は、頸動脈狭窄が原因となるアテローム血栓性脳梗塞に用いられます。
  2. くも膜下出血 クリッピング手術
    正解です。くも膜下出血の原因である脳動脈瘤を閉鎖するために、クリッピング手術が行われます。 再出血を防ぐために非常に有効です。
  3. 心原性脳塞栓症 頸動脈ステント留置術
    誤りです。心原性脳塞栓症は心房細動などが原因で血栓が形成されるため、治療は抗凝固療法が中心です。 頸動脈ステント留置術は、頸動脈狭窄が原因の場合に適応されます。
  4. 一過性脳虚血発作 コイル塞栓術
    誤りです。一過性脳虚血発作(TIA)は短時間で症状が改善する脳虚血状態であり、脳動脈瘤の治療を行うコイル塞栓術は適応外です。 再発予防として抗血小板療法が行われます。
  5. アテローム血栓性脳梗塞 アブレーション手術
    誤りです。アブレーション手術は不整脈(例:心房細動)の治療に用いられる手法です。 アテローム血栓性脳梗塞の治療には抗血小板療法や頸動脈血栓内膜剝離術などが用いられます。

ワンポイントアドバイス

脳血管障害の種類ごとに適切な治療法を覚えることが重要です。特に、くも膜下出血のクリッピング手術やコイル塞栓術、心原性脳塞栓症の抗凝固療法、頸動脈狭窄の血管内治療(ステント留置術)など、試験で頻出の組み合わせを押さえておきましょう。