第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題85

原始反射のうち消失する時期が最も遅いのはどれか。

  1. Moro反射
  2. 足底把握反射
  3. 緊張性迷路反射
  4. 交叉性伸展反射
  5. 非対称性緊張性頸反射

解答解説

正解は 2. 足底把握反射 です。

足底把握反射は、生後9~12か月頃に消失します。他の原始反射はこれよりも早く消失するため、足底把握反射が最も遅いと言えます。この反射は、足底を刺激すると足の指が屈曲する現象で、歩行準備や足底感覚の発達に関与します。

各選択肢の解説

  1. Moro反射
    誤りです。Moro反射は生後4~6か月頃に消失します。 赤ちゃんが急に体勢を変えたり大きな音を聞いたりすると両腕を外に広げる反射で、新生児期の保護的な役割があります。
  2. 足底把握反射
    正解です。足底把握反射は原始反射の中で消失時期が最も遅く、生後9~12か月頃に消失します。 この反射は、赤ちゃんの発達過程で重要な役割を果たします。
  3. 緊張性迷路反射
    誤りです。緊張性迷路反射は生後4か月頃に消失します。 体位によって筋緊張が変化する反射で、これが持続すると姿勢や運動発達に影響を及ぼす可能性があります。
  4. 交叉性伸展反射
    誤りです。交叉性伸展反射は生後1~2か月頃に消失します。 刺激を受けた足の反対側の足が伸展する反射で、新生児期にのみ観察されます。
  5. 非対称性緊張性頸反射
    誤りです。非対称性緊張性頸反射(ATNR)は生後4~6か月頃に消失します。 頭を一方向に向けると顔側の肢が伸展し、後頭側の肢が屈曲する反射です。

ワンポイントアドバイス

原始反射の消失時期を正確に覚えることが重要です。正常な発達では、反射が適切な時期に消失し、随意的な運動が発達します。特に遅い時期に消失する足底把握反射は例外的なので注意して覚えましょう。また、反射が消失しない場合は発達障害や神経疾患の可能性があるため、臨床的に重要です。