第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題76

小脳橋角部に最も多い脳腫瘍はどれか。

  1. 腺腫
  2. 髄膜腫
  3. 血管芽腫
  4. 神経膠腫
  5. 神経鞘腫

解答解説

正解は 5. 神経鞘腫 です。

小脳橋角部腫瘍の中で最も多いのが神経鞘腫(特に前庭神経鞘腫)です。神経鞘腫は、シュワン細胞に由来する良性腫瘍で、主に聴神経や前庭神経に発生します。聴力低下、耳鳴り、平衡障害が主な症状として現れることが多く、MRIで診断されます。

各選択肢の解説

  1. 腺腫
    誤りです。腺腫は主に内分泌腺や消化管に発生する腫瘍です。 小脳橋角部には発生しません。
  2. 髄膜腫
    誤りです。髄膜腫は小脳橋角部に発生することもありますが、頻度としては神経鞘腫に次ぐものです。 神経鞘腫が最も多い腫瘍です。
  3. 血管芽腫
    誤りです。血管芽腫は小脳半球や脊髄に発生することが多い腫瘍で、小脳橋角部腫瘍では稀です。
  4. 神経膠腫
    誤りです。神経膠腫は脳や脊髄の内部に発生する腫瘍で、小脳橋角部にはほとんど見られません。
  5. 神経鞘腫
    正解です。神経鞘腫(特に前庭神経鞘腫)は、小脳橋角部腫瘍の中で最も頻度が高い腫瘍です。

ワンポイントアドバイス

小脳橋角部腫瘍では、神経鞘腫と髄膜腫が重要な鑑別対象です。前庭神経鞘腫の主な症状は聴力低下、耳鳴り、平衡障害であり、早期診断にはMRIが有用です。治療としては、経過観察、外科的切除、放射線治療が選択される場合があります。