第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題57

気管支について正しいのはどれか。

  1. 気管支には平滑筋がある。
  2. 左主気管支は右主気管支より短い。
  3. 気管支の内表面は平上皮で覆われる。
  4. 気管分岐部は食道の第狭窄部にある。
  5. 気管の延長線に対する気管支の分岐角度は左より右の方が大きい。

解答解説

正解は 1. 気管支には平滑筋がある。

気管支の壁には平滑筋が存在し、気道の収縮や拡張に関与します。自律神経系によって制御され、特に副交感神経刺激によって収縮、交感神経刺激によって拡張します。その他の選択肢には誤りがあります。

各選択肢の解説

  1. 気管支には平滑筋がある。
    正解です。気管支壁には平滑筋が存在し、気管支径の調整を行います。 これにより、気道抵抗の変化や呼吸量の調節が可能です。
  2. 左主気管支は右主気管支より短い。
    誤りです。右主気管支の方が短く、直径が大きく、垂直に近い角度で分岐しています。 そのため、異物が入り込みやすいのは右主気管支です。
  3. 気管支の内表面は平上皮で覆われる。
    誤りです。気管支の内表面は円柱上皮(多列線毛上皮)で覆われ、粘液や線毛によって異物を排除する機能を持っています。
  4. 気管分岐部は食道の第狭窄部にある。
    誤りです。気管分岐部(気管支分岐部、Carina)は胸骨角の高さ(第4~5胸椎付近)にあります。 食道の第狭窄部とは関係ありません。
  5. 気管の延長線に対する気管支の分岐角度は左より右の方が大きい。
    誤りです。右主気管支は気管の延長線に対して角度が小さく(約25度)、左主気管支はより鋭角に分岐しています(約45度)。 この特徴のため、異物は右に入りやすいです。

ワンポイントアドバイス

気管支の構造は臨床上非常に重要です。右主気管支の分岐が垂直に近いため、異物が入りやすい点を理解しておくことが必要です。また、気管支の内表面は線毛上皮で覆われ、粘液と線毛の協働で異物排除が行われることも覚えておきましょう。