第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題19

8歳の女児。顕在性二分脊椎。Sharrardの分類はⅣ群である。歩行練習の実施方法で適切なのはどれか。

  1. 靴型装具を使用する。
  2. 長下肢装具を使用する。
  3. 短下肢装具とロフストランド杖を併用する。
  4. 長下肢装具とロフストランド杖を併用する。
  5. 骨盤帯付き長下肢装具とPCW(postural control walker)を併用する。

解答解説

正解は1. 靴型装具を使用する。です。
Sharrardの分類でⅣ群は、L4~L5レベルの脊髄神経が機能している状態を指します。このレベルでは、大腿四頭筋や脛骨前筋の筋力が残存しているため、歩行が可能で、足部や足関節の安定を補助する靴型装具(AFOなど)が適切です。過剰な支援装具は自立を妨げる可能性があるため、必要最低限の補助を選択します。

各選択肢の解説

  1. 靴型装具を使用する。
    正解です。靴型装具(AFOなど)は、L4~L5レベルの神経機能がある患者において、足関節の安定性を補助し、独立した歩行を支援します。 過剰な補助を避け、最大限の自立を促すことがポイントです。
  2. 長下肢装具を使用する。
    長下肢装具は、膝関節や股関節の筋力が著しく低下している場合に使用しますが、Ⅳ群では膝関節の筋力が十分にあるため不要です。 過剰な装具の使用は適切ではありません。
  3. 短下肢装具とロフストランド杖を併用する。
    短下肢装具とロフストランド杖の併用は、バランスや支持が不十分な場合に用いますが、Ⅳ群では杖の使用は不要であり、靴型装具で十分対応可能です。 過剰な補助となります。
  4. 長下肢装具とロフストランド杖を併用する。
    長下肢装具とロフストランド杖の併用は、股関節や膝関節の筋力がほとんどない場合に適応されます。Ⅳ群ではこのような支援は必要ありません。
  5. 骨盤帯付き長下肢装具とPCWを併用する。
    骨盤帯付き長下肢装具とPCWは、L3以下の神経機能がない場合などに適用されます。Ⅳ群ではこのような高度な支援は不要です。

ワンポイントアドバイス

Sharrardの分類を理解することは、二分脊椎の患者に適切な装具やリハビリプランを選択する際に非常に重要です。Ⅳ群(L4~L5レベル)では、必要最低限の補助で最大限の自立を促進する方針が基本です。靴型装具は最適な選択肢となります。