Down症候群の児に対して乳児期に行う理学療法で適切なのはどれか。
- 腹筋群の収縮を促す。
- 不随意運動を抑制する。
- 背這いを移動手段とする。
- 緊張性迷路反射を促通する。
- 定頸後すぐに立位姿勢を経験させる。
解答解説
正解は 1. 腹筋群の収縮を促す。
Down症候群の児は筋緊張低下(低緊張)が特徴的で、特に体幹の筋力低下が問題となることが多いです。腹筋群の収縮を促すことで、姿勢の安定性や運動発達を支援することが理学療法の重要な目的となります。体幹の安定性が改善されることで、運動発達段階(寝返り、腹這い、四つ這いなど)の獲得が促されます。
各選択肢の解説
- 腹筋群の収縮を促す。
正解です。筋緊張が低下しているDown症候群の児にとって、体幹の筋力強化は重要な課題です。 腹筋群を含む体幹筋の収縮を促すことで、姿勢保持や運動発達がスムーズになります。 - 不随意運動を抑制する。
Down症候群の児は不随意運動(アテトーゼなど)を呈することは稀です。 この選択肢は脳性麻痺のアテトーゼ型などに適応されるものであり、誤りです。 - 背這いを移動手段とする。
背這いは運動発達において非効率的であり、適切な移動方法ではありません。 腹這いや四つ這いを促す方が適切です。この選択肢は誤りです。 - 緊張性迷路反射を促通する。
緊張性迷路反射(TLR)は本能的な反射であり、乳児期にはむしろ抑制されることが望ましいです。 反射が強化されると運動発達に悪影響を及ぼすため、この選択肢は誤りです。 - 定頸後すぐに立位姿勢を経験させる。
立位姿勢を急ぐことは不適切であり、発達段階に応じた運動を促すことが重要です。 定頸後には、腹這いや四つ這いなどを通じて徐々に発達を促進します。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
Down症候群の児は低緊張が特徴的であり、体幹の筋力や姿勢保持能力の強化が理学療法の中心となります。特に腹筋や背筋を含む体幹筋の強化を意識してトレーニングを行い、適切な運動発達を支援しましょう。また、過度な刺激や急激な負荷は避け、児の発達段階に応じた方法を選択することが重要です。