第55回

第55回理学療法士国家試験 午前問題46

多発性筋炎の回復初期における理学療法で正しいのはどれか。

  1. 運動負荷量は血小板数を目安に設定する。
  2. 筋力トレーニングは四肢の遠位筋を中心に行う。
  3. 間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める。
  4. 手指の冷感に対して手部および手指へのホットパックを行う。
  5. 筋痛があれば抵抗を減らし、時間を延長して筋力トレーニングを継続する。

解答解説

正解は 3. 間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める。

多発性筋炎(PM)は自己免疫性疾患で、筋力低下を主徴としますが、しばしば間質性肺炎を合併します。特に回復初期には全身状態や呼吸機能を注意深く評価し、無理のない範囲でリハビリを進めることが重要です。間質性肺炎は致命的な合併症となる可能性があるため、常に注意を払いながら理学療法を実施します。

各選択肢の解説

  1. 運動負荷量は血小板数を目安に設定する。
    運動負荷量の設定は筋力や全身状態、酸素飽和度などを基準とします。血小板数は出血傾向の評価には有用ですが、運動負荷量の直接的な指標ではありません。 この選択肢は誤りです。
  2. 筋力トレーニングは四肢の遠位筋を中心に行う。
    多発性筋炎では近位筋(特に体幹や大腿部など)が主に障害されるため、近位筋を中心としたトレーニングが必要です。 遠位筋を中心に行うのは不適切です。この選択肢は誤りです。
  3. 間質性肺炎の合併に注意してプログラムを進める。
    正解です。多発性筋炎の患者では間質性肺炎の合併が多くみられ、リハビリ中に呼吸困難や酸素飽和度の低下などが起きないよう注意が必要です。 これを考慮して理学療法を進めることが重要です。
  4. 手指の冷感に対して手部および手指へのホットパックを行う。
    手指の冷感は血流障害による可能性があり、熱刺激が悪化させることもあります。 慎重な評価が必要なため、安易なホットパックの使用は不適切です。この選択肢は誤りです。
  5. 筋痛があれば抵抗を減らし、時間を延長して筋力トレーニングを継続する。
    筋痛がある場合、無理にトレーニングを続けるのは不適切です。休息を優先し、炎症が悪化しないようにするべきです。 この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

多発性筋炎では、近位筋の筋力低下が主な症状であり、全身の炎症状態や間質性肺炎の合併に注意が必要です。特に回復初期は全身状態を慎重に評価し、無理のない範囲で理学療法を進めることが大切です。