52歳の男性。2型糖尿病。足のしびれと血糖値の上昇のため入院となった。検査結果では空腹時血糖305 mg/dL、尿検査でケトン体陰性であった。虚血性心疾患と腎機能障害は認めない。この患者への対応で正しいのはどれか。
- 安静臥床とする。
- 1日200 kcalを消費させる運動を行う。
- 1 RMの80%で下肢の筋力増強運動を行う。
- 病棟内歩行などの軽度な負荷にとどめる。
- 目標心拍数115/分で有酸素運動を20分間行う。
解答解説
正解は4. 病棟内歩行などの軽度な負荷にとどめる。です。
解説
この患者の空腹時血糖値は305 mg/dLと非常に高く、血糖値が300 mg/dL以上の場合には運動療法の実施は控えるべきとされています。高血糖時の運動は血糖値をさらに上昇させ、糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こすリスクがあるため、まずは血糖値の安定化が優先されます。
そのため、血糖値を安定させるための軽度な活動(病棟内の歩行など)にとどめ、適切なインスリン療法や血糖管理を行うことが適切な対応です。
その他の選択肢
- 安静臥床とする
安静臥床は不適切です。糖尿病患者では安静にし過ぎると血糖コントロールが悪化しやすく、適度な身体活動が推奨されます。不正解です。 - 1日200 kcalを消費させる運動を行う
血糖値が300 mg/dLを超える状態で運動を行うと、血糖値がさらに上昇する可能性があるため、不適切です。不正解です。 - 1 RMの80%で下肢の筋力増強運動を行う
高負荷の筋力トレーニングは血糖値が安定した状態でのみ推奨されます。この患者の現在の血糖状態では不適切です。不正解です。 - 目標心拍数115/分で有酸素運動を20分間行う
有酸素運動は血糖値が安定した状態で行うべきであり、現在の高血糖状態では避ける必要があります。不正解です。
ワンポイントアドバイス
糖尿病患者の運動療法は血糖値が安定している場合に行うべきです。特に、血糖値が300 mg/dLを超える場合には運動を控え、まず血糖値のコントロールを優先することが重要です。また、血糖値が安定してからは適切な負荷で有酸素運動や筋力増強運動を進めることが推奨されます。