42歳の女性。感冒症状が出現して1週間後から対称性に両手のしびれを自覚し、脱力が遠位-近位筋へと広がったため神経内科を受診した。上肢遠位筋優位の脱力と四肢の深部腱反射消失を認め、Guillain-Barré症候群と診断された。検査所見として正しいのはどれか。
- 髄液検査で細胞数が増加する。
- 頭蓋MRI検査で髄芽腫様病変を認める。
- 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下する。
- 末梢神経の連続撮影で腫れ状の病変が増加する。
- 末梢神経軸索障害で発生するF波の消失が特徴である。
解答解説
正解は3. 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下するです。
解説
Guillain-Barré症候群は、急性の免疫介在性多発神経根炎として知られ、以下の特徴的な所見があります。
- 末梢神経伝導検査:脱髄型が主であり、伝導速度の低下や伝導ブロックが確認されます。
- 髄液検査:髄液蛋白細胞解離(蛋白上昇、細胞数正常)が特徴であり、細胞増加は見られません。
- MRI:中枢神経系の異常ではなく、末梢神経系の検査が重要です。
したがって、伝導速度低下が本問の正解です。
各選択肢の解説
- 髄液検査で細胞数が増加する
Guillain-Barré症候群では髄液蛋白細胞解離が認められますが、細胞増加はまれです。よって誤りです。 - 頭蓋MRI検査で髄芽腫様病変を認める
Guillain-Barré症候群では頭蓋MRIでの異常所見は通常見られません。髄芽腫様病変は中枢神経腫瘍に関連します。 - 末梢神経伝導検査で伝導速度が低下する
Guillain-Barré症候群の脱髄型では伝導速度低下が特徴的です。これが正解です。 - 末梢神経の連続撮影で腫れ状の病変が増加する
神経炎症が生じますが、連続撮影での腫れ状病変の増加は典型的所見ではありません。 - 末梢神経軸索障害で発生するF波の消失が特徴である
軸索型の障害でもF波の消失が見られることがありますが、脱髄型Guillain-Barré症候群の主要な特徴ではありません。
ワンポイントアドバイス
Guillain-Barré症候群の鑑別診断では、「進行性の筋力低下」「腱反射消失」「髄液蛋白細胞解離」がポイントです。さらに、神経伝導検査での脱髄所見を確認することが重要です。