70歳の男性。脳梗塞による左片麻痺。Brunnstrom法ステージは下肢III。関節可動域制限はない。ダブルクレンザック足継手付き両側金属支柱型短下肢装具を用いて歩行練習を実施している。足継手を背屈0~20度で可動するように設定すると、左立脚中期に膝折れが出現した。装具の調整で正しいのはどれか。
- 足継手の可動範囲を背屈0~5度に設定する。
- スウェーデン式膝装具を併用する。
- Tストラップを追加する。
- 外側ウェッジを入れる。
- 装具の踵を高くする。
解答解説
正解は1. 足継手の可動範囲を背屈0~5度に設定する。です。
解説
左立脚中期に膝折れ(膝が屈曲して不安定になる現象)が見られる場合、原因として足継手の背屈許容範囲が広すぎることが考えられます。背屈が過剰に許容されると、下腿前傾が促進され、膝の屈曲モーメントが増加し、膝折れにつながります。そのため、足継手の背屈可動範囲を0~5度に狭めることで、下腿前傾を抑制し、膝の安定性を向上させることが適切な調整となります。
その他の選択肢
- スウェーデン式膝装具を併用する
スウェーデン式膝装具は膝の安定性を補助する装具ですが、本例では足継手の調整が問題の解決に適しており、膝装具の併用は必要ありません。不正解です。 - Tストラップを追加する
Tストラップは、内反または外反の制御に用いられますが、膝折れの改善には直接関係しません。不正解です。 - 外側ウェッジを入れる
外側ウェッジは、過剰な内反を制御する目的で使用されますが、膝折れの改善には関係ありません。不正解です。 - 装具の踵を高くする
装具の踵を高くすると、下腿の前傾がさらに促進され、膝折れが悪化する可能性があります。不正解です。
ワンポイントアドバイス
歩行時の膝折れが見られる場合は、足継手の背屈許容範囲が適切かをまず確認しましょう。背屈が過剰だと膝屈曲モーメントが強くなり、不安定性を招くことがあります。足継手の設定を調整し、立脚期における膝の安定性を高めることが重要です。