45歳の男性。左大腿切断後。大腿義足を用いた歩行練習中、左立脚中期に過度の膝椎前弓が観察された。原因として正しいのはどれか。
- 義足長が長過ぎる。
- 足継手の後方バンパーが弱過ぎる。
- ソケットが前方に位置し過ぎている。
- ソケットの初期屈曲角が不足している。
- 膝継手の摩擦が弱過ぎる。
解答解説
正解は4. ソケットの初期屈曲角が不足している。です。
解説
義足装着者において、立脚中期に膝椎前弓(膝が前方に突き出るような動き)が過度に見られる場合、義足のソケットの初期屈曲角が不足していることが原因として挙げられます。
- ソケットの初期屈曲角が不足していると、義足が十分に屈曲できず、立脚中期に膝が過伸展しやすくなります。
- この状態は歩行時のバランスを不安定にし、過度の膝椎前弓が見られる特徴的な現象です。
その他の選択肢
- 義足長が長過ぎる
義足が長すぎると立脚中期ではなく、主に遊脚期に義足を振り出す動作が困難になる(歩行のスムーズさが損なわれる)ため、膝椎前弓とは直接関係ありません。不正解です。 - 足継手の後方バンパーが弱過ぎる
後方バンパーが弱いと、立脚時に足関節が過度に底屈してしまい、膝の屈曲が過剰に起こる可能性がありますが、膝椎前弓を直接引き起こす原因ではありません。不正解です。 - ソケットが前方に位置し過ぎている
ソケットが過度に前方にある場合、膝の屈曲モーメントが増加し、膝が過度に屈曲する可能性が高くなりますが、膝椎前弓には繋がりません。不正解です。 - 膝継手の摩擦が弱過ぎる
膝継手の摩擦が弱い場合、遊脚期に膝が不安定になり、スイングの制御が困難になりますが、膝椎前弓とは関係がありません。不正解です。
ワンポイントアドバイス
義足使用者の歩行時の問題点を評価する際は、膝の動き(屈曲・伸展)に義足の各設定がどう影響するかを把握することが重要です。特にソケットの初期屈曲角は、膝の安定性や歩行時の負担軽減に大きく関与するため、調整不足による影響を理解しておきましょう。