骨格筋の筋収縮で正しいのはどれか。
- 筋小胞体にはNa⁺を貯蔵している。
- 活動電位は筋収縮に遅れて発生する。
- Ca²⁺が筋小胞体に取り込まれると筋収縮が起こる。
- ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こる。
- 神経筋接合部での興奮の伝達は神経と筋との間で双方向性である。
解答解説
正解は4. ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こるです。
解説
筋収縮の仕組み
骨格筋の収縮は、アクチンとミオシンが滑り合う(滑り説)ことで発生します。これにはATPやCa²⁺が関与し、以下のステップで進行します。
- 神経筋接合部で神経刺激が伝わり、活動電位が筋膜を伝導する。
- 筋小胞体からCa²⁺が放出され、アクチンフィラメントのトロポニンCに結合。
- ミオシン頭部がATPを加水分解し、エネルギーを得てアクチンと結合、クロスブリッジを形成。
- ミオシン頭部が首を動かし、アクチンフィラメントを引き寄せて収縮が発生。
- Ca²⁺が筋小胞体に戻ると収縮が終了。
各選択肢の解説
- 筋小胞体にはNa⁺を貯蔵している(誤り)
- 筋小胞体はCa²⁺を貯蔵しています。筋収縮にはCa²⁺が放出される必要があり、Na⁺は関与しません。
- 活動電位は筋収縮に遅れて発生する(誤り)
- 活動電位は筋収縮の先駆けとして発生します。活動電位が筋小胞体からのCa²⁺放出を誘発し、その後に筋収縮が起こります。
- Ca²⁺が筋小胞体に取り込まれると筋収縮が起こる(誤り)
- 筋収縮はCa²⁺が筋小胞体から放出されることで始まります。Ca²⁺が筋小胞体に取り込まれると収縮が終了します。
- ミオシン頭部の角度が戻るときにATPの加水分解が起こる(正解)
- ミオシン頭部が角度を戻す(リカバリーストローク)際にATPが加水分解されます。このエネルギーを用いて次のクロスブリッジ形成が可能となります。
- 神経筋接合部での興奮の伝達は神経と筋との間で双方向性である(誤り)
- 神経筋接合部での興奮伝達は一方向性です。神経から筋へアセチルコリンが放出され、筋に興奮が伝達されますが、逆方向に興奮が伝わることはありません。
ワンポイントアドバイス
筋収縮の仕組みでは、Ca²⁺の動き(筋小胞体の放出と再取り込み)とATPの役割を理解することが重要です。ATPは以下のように作用します:
- ミオシン頭部のエネルギー供給(加水分解)
- ミオシンとアクチンの解離(ATP結合時)
これらの流れを押さえ、関連する試験問題にも対応できるようにしましょう。