第54回

第54回理学療法士国家試験 午後問題5

20歳の男性。肩関節の疼痛を訴えている。図に示した状態から手背を腰部から離すように指示したところ、離すことができなかった。筋力低下が疑われるのはどれか。

  1. 棘下筋
  2. 棘上筋
  3. 肩甲下筋
  4. 小円筋
  5. 上腕二頭筋

解答解説

正解は3. 肩甲下筋です。

解説

手背を腰部から離す動作は、肩関節の内旋に関与する筋群の機能を評価します。この動作ができない場合、肩甲下筋を含む肩関節内旋筋の筋力低下や損傷が疑われます。

各選択肢の解説

  1. 棘下筋(誤り)
    • 棘下筋は肩関節の外旋に関与する筋です。この動作(手背を腰部から離す)は内旋運動であり、棘下筋の関与はありません。
  2. 棘上筋(誤り)
    • 棘上筋は主に肩関節の外転を補助する筋であり、この動作には関与しません。
  3. 肩甲下筋(正解)
    • 肩甲下筋は肩関節の内旋に主要な役割を果たします。図の動作では肩甲下筋が主に評価され、この筋の筋力低下がある場合は手背を腰部から離すことが困難になります。
  4. 小円筋(誤り)
    • 小円筋は肩関節の外旋を担う筋であり、この動作には関与しません。
  5. 上腕二頭筋(誤り)
    • 上腕二頭筋は肘関節屈曲や前腕の回外(外旋)に関与する筋であり、肩関節内旋には関与しません。

この動作と関連する検査

  • この動作は、肩甲下筋の筋力評価として代表的なリフトオフテストの一部です。
  • 手背を腰部から離せない場合、肩甲下筋の筋力低下や腱の損傷(肩甲下筋腱断裂など)が示唆されます。

ワンポイントアドバイス

肩関節の運動でどの筋が関与するかを覚えることが重要です。特に、内旋には肩甲下筋、外旋には棘下筋や小円筋が主に関与することを区別して覚えましょう。また、リフトオフテストの動作が肩甲下筋の評価に特化していることも試験対策として重要です。