第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題43

腹圧性尿失禁に対する筋力増強練習の対象で最も優先すべき筋群はどれか。

  1. 腹筋群
  2. 殿筋群
  3. 骨盤底筋群
  4. 脊柱起立筋群
  5. 股関節外旋筋群

解答解説

正解は3. 骨盤底筋群です。

解説

腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみ、重い物を持ち上げる際などに腹圧が高まることで尿が漏れる状態です。この症状の主な原因は、骨盤底筋群の筋力低下による尿道支持機能の低下です。骨盤底筋群は膀胱や尿道を支える役割を果たしており、この筋群の強化が治療の中心となります。

骨盤底筋群の特徴

  • 骨盤底筋群は、膀胱や直腸を支える筋肉で構成され、尿失禁の予防や改善に重要な役割を果たします。
  • 筋力強化には、ケーゲル体操が広く推奨されています。この体操は骨盤底筋群を意識的に収縮させる練習です。

他の選択肢との比較

  1. 腹筋群(誤り)
    • 腹筋群は腹圧の調整に関与しますが、直接的に尿道や膀胱を支える役割はありません。腹筋の過剰な活動は逆に腹圧を上げ、尿失禁を悪化させる可能性があります。
  2. 殿筋群(誤り)
    • 殿筋群は骨盤の安定性には関与しますが、尿道や膀胱の支持には直接的に関与しません。
  3. 骨盤底筋群(正解)
    • 骨盤底筋群の筋力強化は尿失禁改善の中心的な介入法です。膀胱や尿道の支持を改善するために最も重要な筋群です。
  4. 脊柱起立筋群(誤り)
    • 脊柱起立筋群は体幹の安定性に関与しますが、尿道や膀胱を直接支える機能はありません。
  5. 股関節外旋筋群(誤り)
    • 股関節外旋筋群は下肢の動作や姿勢の安定性に寄与しますが、尿失禁には関与しません。

ワンポイントアドバイス

腹圧性尿失禁の治療では、骨盤底筋群の筋力強化が最優先です。特に、ケーゲル体操などで筋群を収縮させる練習が効果的です。尿失禁のタイプや関連する解剖学的知識を整理し、適切な介入方法を選べるようにしましょう。