第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題42

軽い運動から激しい運動へと運動強度を徐々に増加させるときの正常な循環応答で正しいのはどれか。

  1. 運動中の心拍数変化は主に副交感神経活動の亢進によって生じる。
  2. 運動強度の増加に伴い心筋への血流配分率が大幅に増加する。
  3. 運動強度が増加しても動脈血酸素含量はほぼ一定である。
  4. 運動開始から軽い運動中の心拍出量増加は主に心拍数の増加によって生じる。
  5. 中等度から激しい運動中の一回拍出量は直線的に増加する。

解答解説

正解は3. 運動強度が増加しても動脈血酸素含量はほぼ一定であるです。

解説

運動中の循環応答には、心拍数、心拍出量、血流分布、酸素運搬能力などの変化が関与します。これらは酸素供給と需要をバランスさせるために調節されています。

各選択肢についての解説

  1. 運動中の心拍数変化は主に副交感神経活動の亢進によって生じる(誤り)
    • 運動中の心拍数の増加は、副交感神経活動の抑制および交感神経活動の亢進によって生じます。副交感神経の亢進では心拍数は減少します。
  2. 運動強度の増加に伴い心筋への血流配分率が大幅に増加する(誤り)
    • 心筋への血流量は増加しますが、血流配分率(全血流量に対する割合)は大きく変化しません。運動時には主に骨格筋への血流配分率が増加します。
  3. 運動強度が増加しても動脈血酸素含量はほぼ一定である(正解)
    • 運動中は肺でのガス交換能力が十分に保たれるため、動脈血酸素含量はほぼ一定です。一方、静脈血酸素含量は運動強度の増加に伴い減少します。
  4. 運動開始から軽い運動中の心拍出量増加は主に心拍数の増加によって生じる(誤り)
    • 軽い運動では、心拍出量の増加は主に一回拍出量の増加によって生じます。心拍数の増加は中等度以上の運動で重要になります。
  5. 中等度から激しい運動中の一回拍出量は直線的に増加する(誤り)
    • 一回拍出量は中等度の運動で増加が頭打ちになります。以降は、心拍数の増加が心拍出量の増加を担います。

選択肢の要点整理

  1. 心拍数変化:運動中は副交感神経の抑制と交感神経の亢進が作用。
  2. 血流配分:運動中の血流配分率は骨格筋が増加、心筋は割合は変化なし。
  3. 動脈血酸素含量:肺の効率的なガス交換により一定を保つ。
  4. 心拍出量増加:軽い運動では一回拍出量、中等度以上では心拍数が主因。
  5. 一回拍出量:中等度以上の運動で増加が頭打ちになる。

ワンポイントアドバイス

運動中の循環応答では、酸素供給の調節(心拍数、心拍出量、血流分布)が重要です。動脈血酸素含量が一定に保たれる仕組みや、運動強度と心臓の機能の関係性を理解することで、類似問題にも対応できるようにしましょう。