第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題41

大腿義足装着者の異常歩行と原因の組み合わせで正しいのはどれか。

  1. 過度の腰椎前弯 ―― 股関節伸展拘縮
  2. 外転歩行 ――――― 股関節屈曲拘縮
  3. 義足膝の不安定 ―― 股関節伸展筋力低下
  4. 伸び上がり歩行 ―― 股関節内転筋力低下
  5. 分回し歩行 ―――― 股関節内転拘縮

解答解説

正解は3. 義足膝の不安定 股関節伸展筋力低下です。

解説

大腿義足装着者の異常歩行は、義足の適合や筋力の状態、関節の拘縮などの問題に起因します。それぞれの歩行異常と原因を理解することが重要です。

選択肢ごとの詳細

  1. 過度の腰椎前弯 ―― 股関節伸展拘縮(誤り)
    • 腰椎の過度な前弯は通常、股関節屈曲拘縮が原因です。股関節伸展拘縮ではなく、逆の屈曲拘縮が腰椎の代償として関与します。
  2. 外転歩行 ―― 股関節屈曲拘縮(誤り)
    • 外転歩行の主な原因は、股関節外転拘縮や義足ソケットの不適合です。屈曲拘縮は外転歩行の直接的な原因ではありません。
  3. 義足膝の不安定 ―― 股関節伸展筋力低下(正解)
    • 義足膝の安定性は股関節伸展筋(大殿筋やハムストリングス)の筋力によって確保されます。これらの筋力が低下すると膝が不安定になり、歩行時の義足膝の制御が困難になります。
  4. 伸び上がり歩行 ―― 股関節内転筋力低下(誤り)
    • 伸び上がり歩行(トレンデレンブルグ歩行)は、股関節外転筋(中殿筋など)の筋力低下が原因であり、内転筋力低下ではありません。
  5. 分回し歩行 ―― 股関節内転拘縮(誤り)
    • 分回し歩行の原因は、義足が長すぎる場合や膝関節の可動域が不足している場合です。股関節内転拘縮は直接的な原因ではありません。

異常歩行と原因の組み合わせ(まとめ)

  • 義足膝の不安定:股関節伸展筋力低下
  • 外転歩行:股関節外転拘縮、ソケット不適合
  • 腰椎前弯:股関節屈曲拘縮
  • トレンデレンブルグ歩行(骨盤の傾き):股関節外転筋力低下
  • 分回し歩行:義足の長さや膝関節の制限

ワンポイントアドバイス

大腿義足装着者の異常歩行を分析する際には、筋力、拘縮、義足の適合性を原因として考慮します。特に、義足膝の不安定性と股関節伸展筋力の関係は頻出なので、しっかり覚えておきましょう。