第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題47

摂食嚥下障害に対するリハビリテーション手技と目的の組合せで正しいのはどれか。

  1. Shaker法――舌骨上筋群の強化
  2. ハフィング〈huffing〉――食道入口部の開大
  3. バルーン拡張法――誤嚥物の喀出
  4. ブローイング――喉頭挙上の強化
  5. Mendelsohn手技――鼻咽腔閉鎖の強化

解答解説

正解は1.Shaker法――舌骨上筋群の強化です。

Shaker法は、仰臥位で頭を持ち上げる運動を繰り返すことで、舌骨上筋群を強化し、食道入口部(上部食道括約筋)の開大を促進します。嚥下機能の改善を目的とした代表的な嚥下訓練法です。

選択肢の解説

  1. Shaker法――舌骨上筋群の強化
    Shaker法は、仰臥位で頭部を持ち上げることで舌骨上筋群を強化し、嚥下時の舌骨挙上や食道入口部の開大を促進します。嚥下障害のリハビリテーションとして有効であり、この選択肢が正解です。
  2. ハフィング〈huffing〉――食道入口部の開大
    ハフィングは、呼吸リハビリテーションで行われる方法で、強制呼気による分泌物の排出を目的としています。食道入口部の開大とは関係がありません。この選択肢は誤りです。
  3. バルーン拡張法――誤嚥物の喀出
    バルーン拡張法は、嚥下障害における食道狭窄の治療に用いる方法で、喀出の補助ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. ブローイング――喉頭挙上の強化
    ブローイング(風船膨らまし運動など)は、呼吸筋や口唇閉鎖筋の強化を目的としますが、喉頭挙上の強化には直接関与しません。この選択肢は誤りです。
  5. Mendelsohn手技――鼻咽腔閉鎖の強化
    Mendelsohn手技は、嚥下時に喉頭挙上を保持することで、上部食道括約筋の開大を促進します。鼻咽腔閉鎖には関与しません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

摂食嚥下障害に対するリハビリテーション手技では、それぞれの目的を明確に理解することが重要です。

  • Shaker法:舌骨上筋群の強化。
  • Mendelsohn手技:喉頭挙上の保持、上部食道括約筋の開大促進。
  • ハフィング:分泌物の喀出。
    目的を整理して覚えることで、問題を正確に解答できるようになります。