第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題98

疾患と症状の組合せで正しいのはどれか。

  1. Alzheimer 型認知症――パーキンソニズム
  2. 血管性認知症――情動失禁
  3. 進行性核上性麻痺――他人の手徴候
  4. 大脳皮質基底核変性症――幻 視
  5. Lewy小体型認知症――アテトーゼ

解答解説

正解は2.血管性認知症――情動失禁です。

血管性認知症では、大脳の血管病変により神経伝達が障害されるため、感情のコントロールが難しくなり情動失禁(涙や笑いが抑えられない状態)がよく見られます。他の選択肢は疾患と症状の組み合わせが不適切です。

選択肢の解説

  1. Alzheimer 型認知症――パーキンソニズム
    Alzheimer型認知症の主な症状は記憶障害、見当識障害、実行機能障害などであり、パーキンソニズム(動作緩慢、振戦、筋強剛など)はLewy小体型認知症や進行性核上性麻痺で多く見られます。この選択肢は誤りです。
  2. 血管性認知症――情動失禁
    血管性認知症では、脳卒中など血管病変による障害の影響で感情制御が困難になり、情動失禁が典型的な症状として現れます。この選択肢が正解です。
  3. 進行性核上性麻痺――他人の手徴候
    他人の手徴候(自分の意思と無関係に手が動く)は大脳皮質基底核変性症で特徴的に見られます。進行性核上性麻痺では姿勢反射障害や垂直方向の眼球運動障害が主症状です。この選択肢は誤りです。
  4. 大脳皮質基底核変性症――幻 視
    幻視はLewy小体型認知症で特徴的に見られます。大脳皮質基底核変性症では運動症状(他人の手徴候、ジストニア、動作緩慢)が主症状です。この選択肢は誤りです。
  5. Lewy小体型認知症――アテトーゼ
    Lewy小体型認知症では、認知機能の変動、幻視、パーキンソニズムなどが特徴的です。アテトーゼ(手足の緩徐で不随意な動き)は主に大脳基底核障害でみられ、Lewy小体型認知症では一般的ではありません。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

疾患ごとの特徴的な症状を整理しておきましょう:

  • Alzheimer型認知症:記憶障害、見当識障害。
  • 血管性認知症:情動失禁、まだら認知障害。
  • 進行性核上性麻痺:垂直方向の眼球運動障害、姿勢反射障害。
  • 大脳皮質基底核変性症:他人の手徴候、動作緩慢。
  • Lewy小体型認知症:幻視、認知機能の変動、パーキンソニズム。
    これらの特徴を覚えておくと、試験対策に役立ちます。