移植片対宿主病〈graft-versus-host disease:GVHD〉について正しいのはどれか。
- 腸管に好発する。
- 予後良好である。
- 自己遊離皮弁術後に生じる。
- 好中球による免疫反応である。
- 血液型が一致すれば発症は防止できる。
解答解説
正解は1.腸管に好発するです。
GVHD(移植片対宿主病)は、骨髄移植や造血幹細胞移植などで提供された免疫細胞(移植片)が、宿主の組織を攻撃する自己免疫反応です。急性GVHDでは、皮膚、肝臓、腸管に好発します。特に腸管では、下痢や腹痛、消化管出血などが特徴的です。
選択肢の解説
- 腸管に好発する。
急性GVHDの好発部位は皮膚、肝臓、腸管であり、腸管では水様性下痢や腹痛が見られることが一般的です。この選択肢が正解です。 - 予後良好である。
GVHDは重症例では致命的となることがあり、予後不良の場合も少なくありません。急性GVHDや慢性GVHDの重症度によって治療が困難なケースもあります。この選択肢は誤りです。 - 自己遊離皮弁術後に生じる。
GVHDは骨髄移植や造血幹細胞移植に伴い発症します。自己遊離皮弁術では生じません。この選択肢は誤りです。 - 好中球による免疫反応である。
GVHDは、移植片由来のT細胞が宿主組織を攻撃する免疫反応です。好中球が主要な役割を果たすわけではありません。この選択肢は誤りです。 - 血液型が一致すれば発症は防止できる。
GVHDは主にHLA(ヒト白血球抗原)型の不一致が原因で発生します。血液型が一致していても、HLA型が不一致であればGVHDのリスクは高いままです。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
GVHD(移植片対宿主病)の特徴を整理しましょう:
- 好発部位:皮膚(紅斑)、肝臓(肝機能障害)、腸管(下痢、腹痛)。
- 原因:移植片由来のT細胞が宿主の抗原を攻撃。
- 予防策:HLA適合ドナーの選定、免疫抑制療法の使用。
理解を深めることで、GVHDに関する問題に対応できるようになります。