第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題91

特発性肺線維症について正しいのはどれか。

  1. 特発性間質性肺炎の中で予後が最もよい。
  2. 胸部で捻髪音を聴取することが多い。
  3. 湿性咳嗽が主症状である。
  4. 閉塞性換気障害を示す。
  5. 急性増悪は稀である。

解答解説

正解は2.胸部で捻髪音を聴取することが多いです。

特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis, IPF)は、原因不明の間質性肺炎の一つで、進行性の線維化を特徴とします。肺胞壁の線維化が進行することで、聴診時に捻髪音(Velcro crackles)が多く認められます。

選択肢の解説

  1. 特発性間質性肺炎の中で予後が最もよい。
    特発性間質性肺炎の中で、特発性肺線維症(IPF)は最も予後不良とされています。進行性の肺線維化と急性増悪のリスクが特徴的です。この選択肢は誤りです。
  2. 胸部で捻髪音を聴取することが多い。
    IPFでは肺胞壁の線維化により、呼吸音として捻髪音(別名Velcro crackles)が胸部聴診で多く認められます。この選択肢が正解です。
  3. 湿性咳嗽が主症状である。
    IPFの主症状は乾性咳嗽労作時呼吸困難です。湿性咳嗽は一般的ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 閉塞性換気障害を示す。
    IPFは主に拘束性換気障害を示します。スパイロメトリーでは肺活量が低下し、1秒率(FEV1%)はほぼ正常です。この選択肢は誤りです。
  5. 急性増悪は稀である。
    IPFは急性増悪が特徴的で、発症後数年以内に急激に進行することがよくあります。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

特発性肺線維症の特徴を覚えましょう

  • 主症状:乾性咳嗽、労作時呼吸困難。
  • 聴診所見:捻髪音(Velcro crackles)。
  • 機能障害:拘束性換気障害(肺活量低下、正常な1秒率)。
  • 予後:予後不良で急性増悪が起こりやすい。
    これらを押さえることで、IPFに関する問題に正確に対応できます。