車椅子からベッドへの移乗動作において、フットサポートに足を乗せたまま立ち上がろうとすることに関連する病巣はどれか。
- 前頭葉
- 視床
- 被殻
- 中脳背側
- 小脳虫部
解答解説
正解は1(前頭葉)です。
前頭葉は運動の計画、実行、判断、注意、意欲、認知的な制御を司る領域です。フットサポートに足を乗せたまま立ち上がろうとする動作は、移乗時の適切な判断や動作の順序付けができていないことを示唆します。これは、前頭葉の機能低下による実行機能障害(遂行機能障害)の典型的な症状です。
各選択肢の解説
- 前頭葉
正しい選択肢です。前頭葉の損傷により、移乗動作で必要な注意力や計画性、適切な動作選択が欠如し、フットサポートに足を乗せたまま立ち上がろうとするような誤りが生じます。 - 視床
誤りです。視床は感覚情報の中継に関与するため、感覚障害が主に現れます。移乗動作における判断力や実行機能には直接関与しません。 - 被殻
誤りです。被殻は大脳基底核の一部であり、主に運動の調整や筋緊張の制御に関与します。被殻の病変では動作のスムーズさや筋緊張に問題が生じますが、動作計画の誤りは前頭葉の機能低下によるものです。 - 中脳背側
誤りです。中脳背側部は眼球運動や姿勢反射に関与します。移乗動作での判断や計画には関与しません。 - 小脳虫部
誤りです。小脳虫部は姿勢やバランスの調整に関与します。病変がある場合、ふらつきや失調が現れますが、動作の順序付けの障害は主に前頭葉の問題です。
ワンポイントアドバイス
前頭葉は動作の計画や順序付け、注意の維持、判断力に重要な役割を果たします。移乗動作などの複雑な動作において、前頭葉の障害は実行機能障害として現れ、不適切な動作や判断の誤りにつながります。リハビリでは、患者の認知的な能力を評価し、段階的な指導を行うことが重要です。