第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題82

左小脳半球梗塞で生じやすい症状はどれか。

  1. 右半身感覚障害
  2. 右上下肢失調症
  3. 左片麻痺
  4. 聴覚障害
  5. 構音障害

解答解説

正解は5.構音障害です。

小脳は運動の協調性やバランスの調整を司る部位であり、小脳半球梗塞では主に失調症状が現れます。構音障害は、言語を調整する運動機能の障害としてよく見られ、小脳障害の代表的な症状の一つです。

選択肢の解説

  1. 右半身感覚障害
    感覚障害は小脳の病変では通常見られません。感覚障害は大脳の感覚野や視床などの障害に関連します。この選択肢は誤りです。
  2. 右上下肢失調症
    小脳の半球障害は、同側(この場合は左)の上下肢に失調症状を引き起こします。右上下肢ではなく左上下肢に影響するため、この選択肢は誤りです。
  3. 左片麻痺
    小脳は運動の調整を行いますが、筋力低下や麻痺を直接引き起こすことはありません。この選択肢は誤りです。
  4. 聴覚障害
    聴覚障害は主に側頭葉や聴覚神経の障害によって生じ、小脳の病変では一般的に見られません。この選択肢は誤りです。
  5. 構音障害
    小脳障害では筋肉の協調性が乱れるため、話す際の運動も不器用になり、構音障害が生じます。これは小脳梗塞の典型的な症状の一つです。この選択肢が正解です。

ワンポイントアドバイス

小脳梗塞の症状を整理しましょう:

  • 失調症状:運動の不正確さや協調運動障害(ジスメトリア、アタキシー)。
  • 構音障害:言葉が不明瞭になる。
  • 眼振:眼球運動の調整障害。
  • 同側性症状:小脳半球の障害は、同側の上下肢に影響を及ぼす。
    これらの特徴を理解することで、小脳病変に関する問題に正確に対応できます。