僧帽弁閉鎖不全症による心不全で初期からみられるのはどれか。
- 肝脾腫
- 高血圧
- 下浮腫
- 呼吸困難
- 頸静脈怒張
解答解説
正解は4.呼吸困難です。
僧帽弁閉鎖不全症では、僧帽弁が完全に閉鎖しないため、左心房へ血液が逆流します。この逆流により左心房の圧力が上昇し、肺静脈系の血液がうっ滞するため、肺水腫や呼吸困難が初期からみられます。呼吸困難は、左心不全に特有の症状です。
選択肢の解説
- 肝脾腫
肝脾腫は、右心不全による肝静脈のうっ滞が原因で起こります。僧帽弁閉鎖不全症の初期段階では左心不全が主体であり、右心不全が進行した場合に出現します。この選択肢は誤りです。 - 高血圧
高血圧は僧帽弁閉鎖不全症による直接的な初期症状ではありません。むしろ、僧帽弁の逆流による左心不全が主体の病態です。この選択肢は誤りです。 - 下浮腫
下肢の浮腫は右心不全の典型的な症状であり、左心不全が進行して右心不全を引き起こした場合にみられることがあります。僧帽弁閉鎖不全症の初期段階ではみられません。この選択肢は誤りです。 - 呼吸困難
僧帽弁閉鎖不全症では、左心房への血液逆流により肺静脈の圧力が上昇し、肺水腫や呼吸困難が初期から出現します。この選択肢が正解です。 - 頸静脈怒張
頸静脈怒張は右心不全の典型的な症状であり、左心不全が進行して右心不全を伴った場合にみられます。僧帽弁閉鎖不全症の初期段階ではみられません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
僧帽弁閉鎖不全症は左心不全(呼吸困難、起座呼吸、肺水腫)から症状が出現します。一方、右心不全(頸静脈怒張、肝腫大、下肢浮腫)は左心不全が進行した場合に見られるため、左右の心不全の症状を区別して理解しておくことが重要です。また、僧帽弁閉鎖不全症の病態に伴う逆流とその影響を押さえておきましょう。