第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題89

多発性硬化症について正しいのはどれか。

  1. 女性に多い。
  2. 高体温で症状が改善する。
  3. 低緯度地域で有病率が高い。
  4. Phalenテストが陽性となる。
  5. 免疫不全状態で発症しやすい。

解答解説

正解は1.女性に多いです。

多発性硬化症(Multiple Sclerosis, MS)は中枢神経系の脱髄疾患で、自己免疫反応が原因とされています。MSは女性に多く、特に20~40歳の若年成人に発症することが多いです。

選択肢の解説

  1. 女性に多い。
    MSは自己免疫疾患であり、他の自己免疫疾患と同様に女性の発症率が高いです。この選択肢が正解です。
  2. 高体温で症状が改善する。
    MSの特徴的な現象にUhthoff(ウートフ)徴候があり、高体温(発熱や入浴など)で症状が悪化します。逆に、冷却で症状が軽減することもあります。この選択肢は誤りです。
  3. 低緯度地域で有病率が高い。
    MSは高緯度地域(北米、ヨーロッパ北部、オーストラリア南部など)で有病率が高い傾向があります。日照時間が少ない地域がリスク因子となるため、低緯度地域では有病率は低いです。この選択肢は誤りです。
  4. Phalenテストが陽性となる。
    Phalenテストは手根管症候群の診断に用いられる検査で、MSには関連がありません。この選択肢は誤りです。
  5. 免疫不全状態で発症しやすい。
    MSは免疫不全ではなく、免疫系の異常な活性化(自己免疫)によって発症します。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

多発性硬化症の特徴を整理しましょう:

  • 性差:女性に多い。
  • 症状:視神経炎、筋力低下、しびれ、疲労感、排尿障害。
  • 悪化要因:高体温(Uhthoff徴候)。
  • 地理的リスク:高緯度地域で多い。
    これらを覚えておくと、MSに関連する問題に対応しやすくなります。