第56回

第56回理学療法士国家試験 午後問題46

廃用症候群について正しいのはどれか。

  1. 小児ではみられない。
  2. フレイルと同義である。
  3. 起立性低血圧がみられる。
  4. 一次性サルコペニアの原因である。
  5. 加齢とともに症状の進行が遅くなる。

解答解説

正解は3.起立性低血圧がみられるです。

廃用症候群は、身体活動の低下や長期臥床により生じる全身の機能低下を指します。起立性低血圧は、長期臥床による自律神経調節の障害や血液循環機能の低下により、廃用症候群の特徴的な症状として現れます。

選択肢の解説

  1. 小児ではみられない。
    廃用症候群は、小児でも長期臥床や身体活動の低下によって発症する可能性があります。年齢に関係なく生じるため、この選択肢は誤りです。
  2. フレイルと同義である。
    廃用症候群とフレイルは関連しますが、同義ではありません。フレイルは、加齢に伴う全身的な脆弱性を指し、身体活動低下による廃用症候群はその一因となり得ますが、異なる概念です。この選択肢は誤りです。
  3. 起立性低血圧がみられる。
    廃用症候群では、長期臥床により血管の反応性や自律神経機能が低下し、起立性低血圧が頻繁に見られます。この選択肢が正解です。
  4. 一次性サルコペニアの原因である。
    廃用症候群は、二次性サルコペニアの原因として挙げられます。一次性サルコペニアは加齢が主な原因であり、直接的な関係はありません。この選択肢は誤りです。
  5. 加齢とともに症状の進行が遅くなる。
    廃用症候群の進行は加齢によってむしろ早くなります。特に高齢者では筋力低下や循環器機能の低下が顕著で、症状が進行しやすいです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

廃用症候群の主な症状には以下が挙げられます:

  • 筋力低下や筋萎縮(運動機能低下)
  • 起立性低血圧や血行障害(循環機能低下)
  • 骨密度の減少(骨粗鬆症)
  • 関節拘縮(可動域制限)
    これらは長期臥床による二次的な影響であり、早期リハビリテーションや活動量の確保が重要です。