第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題94

症候と内分泌異常の組合せで正しいのはどれか。

  1. 先端巨大症    下垂体前葉ホルモン欠損
  2. 中心性肥満    副腎皮質機能低下
  3. テタニー     副甲状腺機能低下
  4. 尿崩症      抗利尿ホルモン分泌亢進
  5. 頻脈       甲状腺機能低下

解答解説

正解は3です。

テタニーは、副甲状腺機能低下による低カルシウム血症が主な原因です。低カルシウム血症により、筋肉や神経の過剰興奮が引き起こされ、筋肉のけいれんや痙縮が生じます。

各選択肢の解説

  1. 先端巨大症 下垂体前葉ホルモン欠損
    先端巨大症は、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)の過剰分泌が原因です。ホルモン欠損ではなく、ホルモン過剰が関与しているため、この選択肢は誤りです。
  2. 中心性肥満 副腎皮質機能低下
    中心性肥満は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰分泌によるクッシング症候群で見られます。副腎皮質機能低下では、むしろ体重減少が特徴です。この選択肢は誤りです。
  3. テタニー 副甲状腺機能低下(正解)
    正しい選択肢です。副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌低下により低カルシウム血症が生じ、筋肉や神経の過剰興奮がテタニーを引き起こします。
  4. 尿崩症 抗利尿ホルモン分泌亢進
    尿崩症は、抗利尿ホルモン(バソプレシン、ADH)の分泌低下や腎の感受性低下が原因です。分泌亢進はむしろ低ナトリウム血症を伴うSIADHで見られます。この選択肢は誤りです。
  5. 頻脈 甲状腺機能低下
    甲状腺機能低下では、代謝が低下するため、むしろ徐脈が特徴的です。頻脈は、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)で見られます。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

内分泌異常と症候の代表的な組み合わせを覚えておくと便利です:

  • テタニー:副甲状腺機能低下 → 低カルシウム血症。
  • 中心性肥満:副腎皮質機能亢進(クッシング症候群)。
  • 尿崩症:抗利尿ホルモンの分泌低下または作用不全。
  • 頻脈:甲状腺機能亢進。
  • 先端巨大症:成長ホルモンの過剰分泌。

正確なメカニズムと症状の関係を押さえておきましょう。