第57回

第57回理学療法士国家試験 午前問題69

エネルギー代謝で誤っているのはどれか。

  1. 安静時代謝量は基礎代謝量より小さい。
  2. 基礎代謝量はホルモンの影響を受ける。
  3. 安静時代謝量は体重減少により低下する。
  4. 呼吸商は脂肪の燃焼が多くなると低下する。
  5. 代謝当量(単位METs)は酸素3.5 mL/kg/分の摂取量を基準としている。

解答解説

正解は1. 安静時代謝量は基礎代謝量より小さいです。

安静時代謝量(RMR: Resting Metabolic Rate)は、基礎代謝量(BMR: Basal Metabolic Rate)よりもわずかに大きい値を示します。基礎代謝量は完全に安静な状態で測定されるのに対し、安静時代謝量は日常生活に近い状態での代謝量を指します。

各選択肢の解説

  1. 安静時代謝量は基礎代謝量より小さい。(正解)
    安静時代謝量は基礎代謝量よりも大きい値を示します。その理由は、基礎代謝量が完全に安静な状態を基準としているのに対し、安静時代謝量は体が軽く動いている状態を想定しているためです。この選択肢は誤りです。
  2. 基礎代謝量はホルモンの影響を受ける。
    甲状腺ホルモンや成長ホルモン、性ホルモンなどが基礎代謝量に影響を与えます。この選択肢は正しいです。
  3. 安静時代謝量は体重減少により低下する。
    体重が減少すると、代謝に関与する筋肉量や体組成が変化し、安静時代謝量は低下します。この選択肢は正しいです。
  4. 呼吸商は脂肪の燃焼が多くなると低下する。
    呼吸商(RQ: Respiratory Quotient)は、燃焼する栄養素によって値が異なります。脂肪の燃焼では炭水化物よりも酸素の消費量が増えるため、呼吸商は低下します。この選択肢は正しいです。
  5. 代謝当量(単位METs)は酸素3.5 mL/kg/分の摂取量を基準としている。
    1 METは、安静時における酸素消費量3.5 mL/kg/分に基づいて定義されています。この選択肢は正しいです。

ワンポイントアドバイス

エネルギー代謝に関連する用語の違いを明確に理解しましょう:

  • 基礎代謝量(BMR):完全な安静状態でのエネルギー消費量。
  • 安静時代謝量(RMR):日常生活に近い安静状態でのエネルギー消費量(BMRより少し高い)。
  • 呼吸商(RQ):炭酸ガス排出量/酸素消費量。炭水化物燃焼で1.0、脂肪燃焼で約0.7。

これらの基礎を押さえておけば、エネルギー代謝に関する問題に対応できます。