第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題90

悪性腫瘍はどれか。

  1. 下垂体腺腫
  2. 頭蓋咽頭腫
  3. 神経鞘腫
  4. 膠芽腫
  5. 髄膜腫

解答解説

正解は4です。

膠芽腫(glioblastoma)は、脳腫瘍の中で最も悪性度の高い腫瘍であり、WHOグレードⅣに分類されます。膠芽腫は急速に増殖し、周囲の正常組織へ浸潤性に広がるため、予後が極めて悪いのが特徴です。

各選択肢の解説

  1. 下垂体腺腫
    下垂体腺腫は一般的に良性腫瘍であり、ホルモン過剰分泌や腫瘍の圧迫による症状を引き起こします。この選択肢は誤りです。
  2. 頭蓋咽頭腫
    頭蓋咽頭腫は、主に小児に発生することが多い良性腫瘍で、成長によって視交叉や脳室を圧迫することがあります。この選択肢は誤りです。
  3. 神経鞘腫
    神経鞘腫(シュワン細胞腫)は主に聴神経に発生する良性腫瘍で、腫瘍が大きくなることで神経圧迫症状を引き起こします。この選択肢は誤りです。
  4. 膠芽腫(正解)
    正しい選択肢です。膠芽腫は悪性腫瘍であり、予後が極めて不良です。治療には手術、放射線療法、化学療法が用いられますが、完全治癒は困難です。
  5. 髄膜腫
    髄膜腫は脳や脊髄を覆う髄膜から発生する腫瘍で、多くは良性腫瘍に分類されます。一部に悪性例もありますが頻度は低いです。この選択肢は誤りです。

ワンポイントアドバイス

脳腫瘍の悪性度を理解する際には、WHOのグレード分類が役立ちます:

  • グレードⅠ~Ⅱ:良性腫瘍が多い(例:髄膜腫、神経鞘腫)。
  • グレードⅢ~Ⅳ:悪性腫瘍(例:膠芽腫)。

膠芽腫のような悪性腫瘍は、早期発見と多角的な治療が必要ですが、予後は不良であることが多いため、緩和ケアの重要性も認識する必要があります。