第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題88

二分脊椎で正しいのはどれか。

  1. 髄膜瘤は神経障害を伴う。
  2. 脊髄係留症候群の好発年齢は2〜4歳である。
  3. 脊髄係留症候群は上肢の感覚障害を伴う。
  4. 脊髄髄膜瘤ではChiari奇形の合併は稀である。
  5. 脊髄髄膜瘤では水頭症を合併する。

解答解説

正解は5です。

脊髄髄膜瘤は、脊髄神経組織が脊柱管外に突出している状態で、水頭症やChiari奇形を高頻度で合併します。特にChiariⅡ型奇形では、脳脊髄液の流れが障害され、水頭症を引き起こすことが多いです。

各選択肢の解説

  1. 髄膜瘤は神経障害を伴う。
    髄膜瘤は脊髄神経組織が含まれず、突出しているのは髄膜のみであるため、通常神経障害を伴いません。この選択肢は誤りです。
  2. 脊髄係留症候群の好発年齢は2〜4歳である。
    脊髄係留症候群の症状は成長期(特に学童期以降)に顕著になることが多いです。2〜4歳での好発は誤りです。この選択肢は誤りです。
  3. 脊髄係留症候群は上肢の感覚障害を伴う。
    脊髄係留症候群では、下肢の感覚障害や運動障害、膀胱直腸障害が主に見られます。上肢の感覚障害は典型的ではありません。この選択肢は誤りです。
  4. 脊髄髄膜瘤ではChiari奇形の合併は稀である。
    脊髄髄膜瘤では、ChiariⅡ型奇形を高頻度で合併します。これは脳の一部が脊柱管内に下降する異常であり、水頭症の原因にもなります。この選択肢は誤りです。
  5. 脊髄髄膜瘤では水頭症を合併する。(正解)
    正しい選択肢です。脊髄髄膜瘤の多くは水頭症を合併し、脳室-腹腔シャント術(V-Pシャント)などの治療が必要になる場合があります。

ワンポイントアドバイス

二分脊椎の特徴を覚えるポイント:

  • 髄膜瘤:神経障害を伴わない。
  • 脊髄髄膜瘤:神経障害を伴うことが多く、水頭症やChiariⅡ型奇形を合併。
  • 脊髄係留症候群:成長に伴う脊髄の伸展により、下肢の運動・感覚障害や膀胱直腸障害を引き起こす。

治療や予防には早期診断とフォローアップが重要です。