第57回

第57回理学療法士国家試験 午後問題84

多発性筋炎にみられる所見はどれか。

  1. 蝶形紅斑
  2. 深部腱反射亢進
  3. 手袋靴下型感覚障害
  4. 筋電図での高振幅電位波形
  5. 血清クレアチンキナーゼ上昇

解答解説

正解は5です。

多発性筋炎(polymyositis)は、筋肉の炎症性疾患で、筋力低下を特徴とします。この疾患では筋細胞が破壊されるため、血清クレアチンキナーゼ(CK)が上昇します。CKは筋障害の指標として重要です。

各選択肢の解説

  1. 蝶形紅斑
    蝶形紅斑は全身性エリテマトーデス(SLE)に特徴的な皮膚症状であり、多発性筋炎にはみられません。この選択肢は誤りです。
  2. 深部腱反射亢進
    多発性筋炎では、筋そのものの障害が主であり、反射亢進など中枢神経の症状は見られません。この選択肢は誤りです。
  3. 手袋靴下型感覚障害
    手袋靴下型感覚障害は末梢神経障害(例:糖尿病性ニューロパチー)に特徴的な所見であり、多発性筋炎にはみられません。この選択肢は誤りです。
  4. 筋電図での高振幅電位波形
    多発性筋炎では筋肉の破壊が進行するため、筋電図では低振幅の短持続電位や筋線維自発活動が見られます。高振幅波形はむしろ神経原性疾患で観察されます。この選択肢は誤りです。
  5. 血清クレアチンキナーゼ上昇(正解)
    正しい選択肢です。多発性筋炎では、筋細胞の破壊により血清CKが上昇します。その他、筋生検で炎症性細胞の浸潤や線維化が確認されることもあります。

ワンポイントアドバイス

多発性筋炎を見分けるためのポイント:

  • 主な症状:筋力低下(特に近位筋)、筋痛。
  • 血液検査:CK、LDH、AST、ALTの上昇。
  • 筋電図:低振幅の短持続電位、筋線維の自発活動(陽性鋭波や線維自発電位)。
  • 関連疾患:皮膚症状を伴う場合は皮膚筋炎と診断されることがあります。

診断には、筋生検、筋電図、血液検査の組み合わせが重要です。