下肢の深部静脈血栓症により塞栓をきたすことが最も多い臓器はどれか。
- 脳
- 肺
- 肝臓
- 心臓
- 腎臓
解答解説
正解は2です。
下肢の深部静脈血栓症(DVT)で形成された血栓は、血流によって肺に運ばれ、肺塞栓症(PE)を引き起こすことが最も多いです。肺動脈に血栓が詰まると、呼吸困難や胸痛、低酸素血症を引き起こし、重症の場合には生命を脅かすことがあります。
各選択肢の解説
- 脳
脳の動脈塞栓症は、主に心房細動などで心臓から血栓が飛ぶ場合に発生します。下肢の深部静脈血栓が直接脳に塞栓を生じることはありません。この選択肢は誤りです。 - 肺(正解)
正しい選択肢です。下肢で形成された血栓は静脈系を通じて右心房・右心室を経由し、肺動脈に到達します。これにより、肺動脈が閉塞し、肺塞栓症を引き起こします。 - 肝臓
肝臓への塞栓は、門脈や肝動脈に血栓が発生した場合に起こりますが、下肢の静脈血栓が直接肝臓を塞栓することはありません。この選択肢は誤りです。 - 心臓
下肢の静脈血栓は右心房・右心室を通過しますが、心臓そのものに塞栓を引き起こすことはありません。この選択肢は誤りです。 - 腎臓
腎臓の血管に塞栓が起こる場合は、主に腎動脈や腎静脈が原因となります。下肢の深部静脈血栓が腎臓に直接影響することはありません。この選択肢は誤りです。
ワンポイントアドバイス
深部静脈血栓症(DVT)と肺塞栓症(PE)の関係を理解するには以下を押さえましょう:
- DVTの主な原因:長時間の安静、手術後、妊娠、悪性腫瘍など。
- PEの症状:突然の呼吸困難、胸痛、失神、低酸素血症。
- 診断:D-ダイマー検査、CT肺血管造影、エコー検査。
- 予防:弾性ストッキング、抗凝固療法、早期離床。
肺塞栓症は緊急性が高い病態なので、早期診断と治療が重要です。