第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題33

上腕二頭筋腱炎で陽性所見を呈する検査はどれか。

  1. Adsonテスト
  2. Apleyテスト
  3. Finkelsteinテスト
  4. Kempテスト
  5. Yergasonテスト

解答解説

正解は5. Yergasonテストです。

解説

上腕二頭筋腱炎は、主に上腕二頭筋長頭腱の炎症が原因で発生します。この腱は肩関節をまたぎ、上腕骨の結節間溝を通っており、肩の動きや反復的な負荷によって炎症が起きやすい部位です。上腕二頭筋腱炎を評価する検査としてYergasonテストが用いられます。

Yergasonテストの手順

  1. 患者は肘を90度屈曲させ、前腕を回内位(手のひらを下向き)にします。
  2. 検者は患者の手首を固定し、回外と肘屈曲の抵抗運動を行います。
  3. 痛みや不快感が上腕二頭筋長頭腱の部位(結節間溝)に生じれば陽性とされます。

このテストは、上腕二頭筋長頭腱の炎症や滑り異常を評価するのに適しています。

選択肢の解説

  1. Adsonテスト(誤り)
    • 胸郭出口症候群の評価に用いられる検査です。頭部を回旋して息を吸うことで、腕神経叢や鎖骨下動脈の圧迫を確認します。上腕二頭筋腱炎には無関係です。
  2. Apleyテスト(誤り)
    • 肩関節の可動域や回旋機能を評価する検査で、特に肩インピンジメント症候群や回旋筋腱板損傷のスクリーニングに使用されます。上腕二頭筋腱炎には直接関係しません。
  3. Finkelsteinテスト(誤り)
    • ドゥケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の評価に用いられる検査で、親指を握り込んだ状態で手関節を尺側に曲げて痛みを確認します。上腕二頭筋腱炎とは無関係です。
  4. Kempテスト(誤り)
    • 腰部神経根障害を評価する検査で、腰部伸展・側屈動作による痛みや神経症状を確認します。上腕二頭筋腱炎には関係しません。
  5. Yergasonテスト(正解)
    • 上腕二頭筋長頭腱の炎症や滑り異常を評価するテストで、上腕二頭筋腱炎のスクリーニングに最も適しています。

ワンポイントアドバイス

肩関節疾患や周囲の炎症を評価するテストには多数の種類があり、それぞれの疾患に特化したテストを選択する必要があります。Yergasonテストは上腕二頭筋腱炎に特異的であるため、上腕二頭筋長頭腱の痛みや炎症が疑われる場合に必ず確認すべきテストです。