第54回

第54回理学療法士国家試験 午前問題31

尺骨骨幹部骨折と橈骨小頭の脱臼を生じるのはどれか。

  1. Barton骨折
  2. Colles骨折
  3. Galeazzi骨折
  4. Monteggia骨折
  5. Smith骨折

解答解説

正解は4. Monteggia骨折です。

解説

Monteggia骨折は、尺骨骨幹部の骨折橈骨小頭の脱臼を同時に生じる損傷で、外傷性の肘関節周囲損傷として知られています。この病態は、特に前腕を回外位に保ったまま肘を伸ばして転倒した場合などに発生しやすいです。

Monteggia骨折の特徴

  • 骨折:尺骨骨幹部に骨折が生じます。
  • 脱臼:橈骨小頭が肘関節から脱臼します(前方脱臼が多い)。
  • 合併症:橈骨神経や後骨間神経の損傷が起こる場合があり、注意が必要です。
  • 治療:整復と固定が必要で、場合によっては手術が選択されます。

他の骨折との比較

  1. Barton骨折(誤り)
    • 手関節(橈骨遠位端)の骨折で、橈骨遠位端の背側または掌側が破壊される特徴があります。尺骨骨幹や橈骨小頭の脱臼とは無関係です。
  2. Colles骨折(誤り)
    • 橈骨遠位端の骨折で、手関節が背側に屈曲して変形します。典型的には「フォーク状変形」を呈しますが、尺骨骨幹や橈骨小頭の脱臼とは無関係です。
  3. Galeazzi骨折(誤り)
    • 橈骨骨幹部の骨折と尺骨遠位端(遠位橈尺関節)の脱臼を伴う損傷です。Monteggia骨折と逆に、橈骨が骨折し尺骨遠位端が脱臼する点が特徴です。
  4. Monteggia骨折(正解)
    • 尺骨骨幹部の骨折と橈骨小頭の脱臼を特徴とする損傷で、問題文に該当します。
  5. Smith骨折(誤り)
    • 橈骨遠位端の骨折で、手関節が掌側に屈曲して変形します(Colles骨折とは逆方向の変形)。尺骨骨幹や橈骨小頭の脱臼とは無関係です。

ワンポイントアドバイス

Galeazzi骨折とMonteggia骨折は、どちらも前腕骨の骨折と関節脱臼を伴いますが、

  • Galeazzi骨折:橈骨骨幹骨折+尺骨遠位端脱臼
  • Monteggia骨折:尺骨骨幹骨折+橈骨小頭脱臼
    と整理して覚えましょう。それぞれの骨折名がどの部分に関係しているかを意識することが重要です。